
ビブリア古書堂の娘が開く、謎への扉――。
その夏、不在中の両親に代わり、ビブリア古書堂を任された少女。美しい女店主とよく似た顔立ちで、本への好奇心と洞察力も母親譲り。だが異なるのは表情豊かで物怖じしないその性格。特殊な依頼に首を突っ込まぬよう少女の監視役を任された少年は、持ち込まれた古書に秘められた謎を、少女が鮮やかに解き明かしていく姿を目の当たりにする。戦時中ある男を救った『シャーロック・ホームズの饋還』と、残されたいたずら書き。
真夏の鎌倉を駆ける「探偵と助手」の物語が始まる――。
『ビブリア古書堂の事件手帖』、娘・扉子のシリーズ第五弾。
夏休みに仕事で海外へ行った両親に代わり、ビブリア古書堂を任されることになった扉子。彼女が暴走しないようにとお目付け役を任された樋口くんの視点で、夏休みに持ち込まれた相談ごとの顛末が語られる。
というわけで、持ち込まれる謎を解決するのは扉子と後輩の樋口くんの高校生コンビ。
しかし、各話の登場人物は過去に両親が相談事を解決した坂口夫妻に、栞子の妹・文香とその学生時代の友人たち、篠川家の敵・田中敏雄まで出てくるという同窓会的な一面も。そんな懐かしさと世代交代の初々しさが同居する一冊だった。
それに、扉子編に入ってから少し変則的な造りの作品が多かった中で、今回は持ち込まれた相談事を古書の知識をもとに紐解いていくシンプルな三編で、そういった意味でも原点回帰な懐かしさが感じられる。
また今回は、今も昔もビブリア古書堂の元気印・文香を抜きにしては語れない。第二話第三話と彼女の学生時代の交友関係が話の中心になっていて、本編ではあまり語られなかった彼女の学生時代の様子が垣間見える。特に第三話は思い出は甘酸っぱく、現実は少し苦い恋愛模様が描かれていて、題材となった中原中也の詩が沁みる。
今回はこのシリーズとしては平和だったな、なんて思っていたら最後の最後にラスボスの祖母登場。シリーズ最大になるかもしれない謎だけを残して去っていくという悪魔の所業。全くあの人は・・・。
最後はあれだったけど、基本的には初期のビブリア古書堂を読んでいるようで懐かしく面白かった。