いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



小説

「セレストブルーの誓約 市条高校サッカー部」綾崎隼(メディアワークス文庫)

青森市条高校サッカー部、セレストブルーは奇跡のチームだった。稀代の名将と絶対的エースの篠宮貴希に導かれ、全国の舞台に青の軌跡を描いたのだ。 あの頃、サッカー部の部員たちは、誰もが一度はマネージャーの綿貫真樹那を好きになっている。だが、皆が理…

「金沢古妖具屋くらがり堂 夏きにけらし」峰守ひろかず(ポプラ文庫ピュアフル)

妖怪たちの古道具――古“妖”具を取り扱う不思議なお店「蔵借堂」は、店主を始め、店員も皆妖怪! 金沢に転校してきた葛城汀一は、普通の人間ながらそこでアルバイトしており、クラスメイトで唐傘の妖怪・時雨とともに日々妖怪がらみの事件に巻き込まれていた。…

「四元館の殺人 ―探偵AIのリアル・ディープラーニング―」早坂吝(新潮文庫nex)

今度の舞台は雪山の館。驚天動地の犯人、爆誕!? 「犯罪オークションへようこそ! 」 犯人のAI・以相が電脳空間で開催した闇オークション、落札したのは従姉を殺され復讐を誓う少女!? 以相の企みを阻止すべく、探偵のAI・相以と助手の輔が辿り着いた先は、奇怪…

「ランチタイムのぶたぶた」矢崎存美(光文社文庫)

スーパーに勤める聖乃は、一人で過ごすお昼休憩を味気なく思っていた。そんな中、思いがけないお弁当を持った「山崎ぶたぶた」という新人が現れ、聖乃の毎日が変わり始める――(「ぶたぶたのお弁当」)。 仕事も勉強もお悩みも、ひと休みできる「お昼」の時間。…

「黒牢城」米澤穂信(角川書店)

信長を裏切った荒木村重と幽閉される黒田官兵衛。 四面楚歌の有岡城で、二人の推理が歴史を動かす。「おぬしならばこの曲事を溶ける」 本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄…

「死にたがりの君に贈る物語」綾崎隼(ポプラ社)

全国に熱狂的なファンを持つ、謎に包まれた小説家・ミマサカリオリ。だが、人気シリーズ完結を目前に訃報が告げられた。奇しくもミマサカの作品は厳しい批判にさらされ、さらにはミマサカに心酔していた16歳の少女・純恋が後追い自殺をしてしまう。純恋の自…

「叙述トリック短編集」似鳥鶏(講談社タイガ)

作者の仕掛ける〔魔法〕はこの本すべてにかけられているーー 「この短編集は『叙述トリック短編集』です。収録されている短編にはすべて叙述トリックが使われておりますので、騙されぬよう慎重にお読みくださいませ。」(読者への挑戦状より) 大胆不敵に予告…

「学芸員・西紋寺唱真の呪術蒐集録2」峰守ひろかず(メディアワークス文庫)

北鎌倉にあるアンティーク博物館。その主任学芸員である西紋寺唱真は、実践的呪術を研究する、呪いの専門家だ。 実習を終えた大学生の宇河琴美と西紋寺のもとに持ち込まれた奇妙な出来事。呪いの絵馬に名前を書かれた人物が祟りに見舞われたというのだ。 調…

「僕といた夏を、君が忘れないように。」国仲シンジ(メディアワークス文庫)

僕の世界はニセモノだった。あの夏、どこまでも蒼い島で、君を描くまでは――。 美大受験をひかえ、沖縄の志嘉良島へと旅に出た僕。どこか感情が抜け落ちた絵しか描けない、そんな自分の殻を破るための創作旅行だった。 「私、伊是名風乃! 君は?」 月夜を見上…

「赤くない糸で結ばれている」筏田かつら(角川文庫)

高校2年生の中川は、友人にすすめられ久しぶりに書店に立ち寄った。POPにひかれ、手に取った本を持って行ったレジで、対応してくれた店員に一目ぼれしてしまう。彼女には「あつみ」とあった。それ以降、1冊読み終わるたびに、本を買う日々が続いていたが……。…

「卒業したら教室で」似鳥鶏(創元推理文庫)

市立高校にまた卒業の季節がやってきた。柳瀬さんをはじめ、仲のよかった先輩たちが高校を巣立っていく。そんな三月の放課後、秋野麻衣が不可解なものを見たと相談に。真っ暗なCAI室で鍵をかけ、誰かが電源も入れずパソコンで何かをしていたらしい。どうやら…

「さよならの言い方なんて知らない。5」河野裕(新潮文庫nex)

冬間美咲。あるいは、ウォーター架見崎という街から生まれた、最も新しい伝説。香屋歩を英雄と呼ぶ、美しい少女。だが、彼女は現実世界で死んだはずだった。ありえない再会は、なぜ叶ったのか。能力が生んだ奇跡? まさか。世界はもっと、泣きたくなるほど残…

「紙屋ふじさき記念館 カラーインクと万年筆」ほしおさなえ(角川文庫)

ふじさき記念館にインクメーカーとガラスペン作家によるコラボ企画が持ち込まれる。館長の一成から協力を頼まれた百花はそのインクとガラスペンにすっかり魅了される。商品のネーミングに悩んでいると、母から作家だった父の遺品の万年筆を渡され、自分の名…

「今日は心のおそうじ日和2 心を見せない小説家と自分がわからない私」成田名璃子(メディアワークス文庫)

大作家の住み込み家政婦となった私。それは思いもしない安らかな日々を与えてくれた。けれどその生活は突然終わりを告げる。若い女性が弟子入り志願してきたのだ。 彼女はたちまち先生の心を掴んでしまう。居場所を失ったかのように感じる私には、見合い話が…

「朝日堂オーダーメイド製本工房」相原罫(メディアワークス文庫)

製本会社朝日堂の屋上にひっそりと建つ小さな工房。生真面目な野島志乃はそこで、本を一冊だけ作ってほしいという個人の依頼を受けている。 「志乃ちゃんは本が大好きですもんね」「私が好きなのは『本を作る仕事』です」 見習いの田中哉太とともに志乃は、…

「飛び立つ君の背を見上げる」武田綾乃(宝島社)

傘木希美、鎧塚みぞれ、そして吉川優子。四人で過ごした、最高にいとおしくて、最高に誇らしかったあの日々――。北宇治高校三年、中川夏紀。 私は今日、吹奏楽部を引退した――。 『響け!ユーフォニアム』のスピンオフ。 本編主人公・黄前久美子と同じユーフォ…

「放課後探偵団2」青崎有吾 他(創元推理文庫)

〈響け! ユーフォニアム〉シリーズが話題を呼んだ武田綾乃、『楽園とは探偵の不在なり』で注目の斜線堂有紀、『あの日の交換日記』がスマッシュヒットした辻堂ゆめ、『タスキメシ』『競歩王』などスポーツから吹奏楽まで幅広い題材の青春小説を書き続ける額…

「名探偵ぶたぶた」矢崎存美(光文社文庫)

日常の中の、小さな謎。心に引っかかった、昔の記憶。失くしてしまったものの行方。胸に秘めた、誰にも言えない秘密。そんな謎や秘密を抱えた五人が出会うのは、なんとも「謎すぎる」ぶたのぬいぐるみ、山崎ぶたぶた。小さくてピンク色で、かわいいけど、実…

「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 心をつなぐスープカレー」友井羊(宝島社文庫)

早朝にひっそり営業しているスープ屋「しずく」のシェフ・麻野は、優れた観察眼で客の悩みを見抜き、解決する隠れた名探偵。長期出張中のOLが恋人に別れを切り出した理由は? 無実の罪を着せられ不登校になった少女は、身の潔白を証明できるのか? 人気洋食…

「三途の川のおらんだ書房 迷える亡者と極楽への本棚」野村美月(文春文庫)

三途の川べりに佇む〈おらんだ書房〉では、艶やかな着物をまとった陽気な店主が「人生最後にして最上の一冊」を選んでくれるという。客は子供から老人まで生前に大きな未練を残した死者ばかり。そのひとりひとりの人生の物語に優しく寄り添い、店主は成仏へ…

「おにぎり処のごちそう三角 家族を結ぶ思い出の食卓」つるみ犬丸(メディアワークス文庫)

愛する妻に先立たれ、二人の思い出が詰まった店を畳んだ元料理人の秋宗。 傷心を癒やそうと料理から離れ、見知らぬ土地で一人暮らしを始めることに。 だけど、引っ越し先の御石荘に「おにぎり処 バーベナ」という看板が……。 最近になって経営者が年若い女性…

「レッドスワンの死闘 赤羽高校サッカー部」綾崎隼(メディアワークス文庫)

雨天の決戦が続くインターハイで、舞原世怜奈率いる赤羽高等学校サッカー部は、研ぎ澄まされた新戦術で、鮮烈な軌跡を描いていく。 そして、ついに彼女が願い続けた赤と青、レッドスワンとセレストブルーの決戦が実現する。 仲間たちの想いを受け、高槻優雅…

「金沢古妖具屋くらがり堂 冬来たりなば」峰守ひろかず(ポプラ文庫ピュアフル)

妖怪たちの古道具―古“妖”具を取り扱う不思議なお店「蔵借堂」は、店主を始め、店員も皆妖怪! 金沢に引っ越してきた男子高校生の葛城汀一は、普通の人間ながらそこでアルバイトをしている。クラスメイトで、実は唐傘の妖怪である時雨や汀一がひそかに思いを寄…

「レッドスワンの混沌 赤羽高校サッカー部」綾崎隼(メディアワークス文庫)

高校生の夏の祭典、インターハイが今年も始まる。 県予選で二年振りに復帰した高槻優雅は、不安を抱える膝を庇いながら、慎重にトレーニングを進めていた。そんな中、会ったこともない父親が指揮を執る青森市条高校より、予期せぬ連絡が入る。 父親との遭遇…

「盤上に君はもういない」綾崎隼(角川書店)

負けたくない敵がいる。誰よりも理解してくれる敵がいる。だから、二人は強くなれる。 将棋のプロ棋士を目指す者たちにとっての最後の難関、奨励会三段リーグ。観戦記者の佐竹亜弓は、そこですべてを賭けて戦う二人の女性と出会う。永世飛王を祖父に持つ天才…

「さよならの言い方なんて知らない。4」河野裕(新潮文庫nex)

香屋歩は臆病者を自認する。知らない人に話しかけられるどころか、すれ違うのすら怖い。そんな彼が殺し合いを是とする架見崎に招かれたとき、どんな行動をとるか。逃げるのか。隠れるのか。泣き叫ぶのか。否。少年は立ち上がる。彼はいつだって、恐怖の前提…

「紙屋ふじさき記念館 物語ペーパー」ほしおさなえ(角川文庫)

大手紙企業「藤崎産業」の記念館でバイトをする百花は、前社長夫人薫子に気に入られ夕食に誘われる。そこで、孫で館長の一成が幼い頃から薫子に育てられ紙への愛情が深くなったことを知る。ある日、彫金デザイナーの雫を伴い本社営業課長の浩介が記念館に現…

「あの日、あの駅で。 駅小説アンソロジー」ほしおさなえ、岡本千紘、崎谷はるひ、奈波はるか(集英社オレンジ文庫)

その駅で別れを知り、人は少し大人になっていく――。 おばあちゃんの家を処分するために降りた清瀬駅で見つけた家族の顔。鎌倉高校前駅で出会った人の顔が見えない少女。下灘駅で食べた亡き母へを誘う塩むすび。決別と再会を見守る東京駅と京都駅。時は移ろい…

「超能力者とは言えないので、アリバイを証明できません」甲斐田紫乃(宝島社文庫)

大富豪・蓮丸貴世彦の遺言で孤島の館に集められた一族。遺産分割について揉めていた一同には緊張が走る。そんな時、遺言書が盗まれさらには弁護士が姿を消した。捜索の結果、血の付いたナイフと海に浮かぶ上着が発見される! 殺人事件か、それとも事故か。疑…

「動機探偵」喜多喜久(双葉文庫)

令王大学の名村准教授は若き天才研究者。 人工知能(AI)を進化させるため、人の心の「なぜ」?を解きあかそうとしていた。特任助手の若葉とともに、不可解な事件の謎に挑む。遺品として見つかった出所不明の日本刀、慣れない登山に挑んだ青年の事故死、突然の…