いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「スクールライブ・オンライン8 ラストマン・スタンディング (後)」木野裕喜(このライトノベルがすごい!文庫)

スクールライブ・オンライン 8 ラストマン・スタンディング(後) (このライトノベルがすごい! 文庫)
スクールライブ・オンライン 8 ラストマン・スタンディング(後) (このライトノベルがすごい! 文庫)

命の保証さえない、非合法な脳開発実験。それを阻止すべく立ち上がった零央率いる《心の欠片(フラグメンツ)》と仲間たち。第一の関門、レグヌム城を落とした彼らを迎えたのは、盟友剛田からの宣戦布告――「《無敵艦隊(アルマダ)》はヴァストゥーク城を攻め落とす」――だった。攻城戦終了まで、残り時間30分! 零央は、実験中止の鍵を握る最強ギルド《高天原(セレスティア)》を落とし、学園の平和を守れるのか!? MMORPG×近未来学園、リアルとゲームが交錯する大人気シリーズ、いよいよクライマックス!

青春でした!
いやー、読んでいるだけでもこっぱずかしくておじさん赤面してしまうよ。


最大最強ギルドを落とす最終決戦が繰り広げられる最終巻。
話の展開はもうここまできたら小細工は要らないとばかりに王道中の王道。所謂「ここは任せて先に行け!」方式で、力を貸してくれた他ギルドの猛者たちの活躍から段階を踏んで盛り上がっていく。
最後の戦いに相応しい苛烈な戦況に派手なバトルシーン、どちらもあるが戦いを通して訴えてくるものはそこではない。戦う彼らが声高々に叫ぶのは、ギルドマスターや上級生として上に立つ者の責任感。惚れた(惚れられた)女に格好良いところを見せようという男の意地。そして仲間との友情や信頼の大切さ。それらの“青春”要素は次第に濃くなっていき、主人公・零央が戦う段階まで来ると吐く台詞すべてが青臭い。
磯村先輩の説得の場面は流石に強引かなとも思ったが、魔王前の四天王最強がトドメ直前で語り出して負けフラグを立てるのはある種の様式美か。ラスボス前は3人しか居ないけどねw
迎えたエピローグは問答無用の大団円。
恋愛の矢印はある程度交差してたのでどうしても泣く人はいるけれど、どこも綺麗に収まってスッキリ&ニンマリ。でも瀧先輩の辛辣さには流石に苦笑い。
で、肝心の零央は……おい。両親が再婚するって言った直後にその台詞じゃ何の前進にもならないだろ! そりゃあやり直しですよね、沙耶さんw このヘタレ具合とバカ正直さが彼の持ち味か。
それでも落ちこぼれで卑屈だった零央の大きな成長に感慨も一入。どこまでも誠実に青春をやりきってくれたシリーズでした。