いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「終末なにしてますか?もう一度だけ、会えますか? #01」枯野瑛(角川スニーカー文庫)

終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#01 (角川スニーカー文庫)
終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#01 (角川スニーカー文庫)

〈人間〉は規格外の〈獣〉に蹂躙され滅びた。〈獣〉を倒しうるのは、〈聖剣〉を振るう黄金妖精のみ。戦いののち、〈聖剣〉は引き継がれるが、力を使い果たした妖精たちは死んでゆく。「誰が恋愛脳こじらせた自己犠牲大好きよ!」「君らだ君ら! 自覚ないのかよ自覚は!」廃劇場の上で出会った、先輩に憧れ死を望む黄金妖精と、嘘つき堕鬼種の青年位官の、葛藤の上に成り立つ儚い日常。次代の黄金妖精たちによる、新シリーズ開幕!


最後の戦いから五年後。
これは少しばかり面倒くさい憧れに囚われている女の子が、少しばかり面倒くさい性格をした男の子と、いがみ合いながらも意気投合していく、それだけの話だ。
……ったらどれだけ良かったことか。第一部よりも少しだけ絶望感の増した世界で、相も変わらず悲恋と別離の気配が濃い作りになっている。いや、第一部より切なさが強くなりそうかな。
自己犠牲バカながら、それなりに酸いも辛いも経験してきた大人なヴィレム(本人が自覚してないので「甘い」はない)と、それに真っ直ぐぶつかっていったクトリに対して、今度の主人公・フェオドールは天邪鬼を演じながらも中身は少女たちと精神年齢が同程度の年相応の少年で、ヒロインのティアットもクトリの生き様を視てきた上で、自身にそこまでの能力がないばかりに捻くれてしまっている。
素直だった二人でもあんなに大変な思いをしたのに、そこにすれ違う要素が加わったらもどかしさが何倍になるのか想像がつかない。
また泣かされるんだろうなという予感たっぷりの第二部スタートだった。


さて問題は、
第一部ラストの『――あれから、少しだけ時間が流れた。』の前なのか後なのか。
ティアットたちのヴィレムを語る口ぶりからすると前みたいな感じはするが。
もしかするとナイトグラートとアイセアのあの会話は、この仕事を終えて帰ってくる時? そうするとコロンと最低もう一人は生き残れることになるが。希望を持つと叩き落されるので程々にしておこう。