いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「キノの旅 XXI ―the Beautiful World―」時雨沢恵一(電撃文庫)

キノの旅XXI the Beautiful World (電撃文庫)
キノの旅XXI the Beautiful World (電撃文庫)

ずしりと重い音と共に城門が開ききって、キノがエルメスを押していくと、彼等が喋っているのが分かった。その声が聞こえてきた。
『情報通りです! 旅人さんが! たった今入国しました! 若いモトラド乗りで、モトラドは銀色タンクの渋い一台! 革鞄には年季が窺えて、旅の過酷さを如実に物語っている!』
彼等は喋っていた。キノとエルメスにも聞こえるくらいハッキリとした大声で。
しかし、それは隣にいる人間に向けてのではなく、全員が視線をキノ達に向けたままで――。(「有名になれる国」)他全13話収録。

今年も手に取ったらとりあえずカバーを外してみる季節がやってまいりました。ここ数年は何もないのだけど、どうしてもねw というわけで年に一度のお楽しみ、キノの旅21巻。
前半は「有名になれる国」に「Nの国」とSNS等ネット界隈にメスを入れる話が印象的。特に前者は有名ユー○ューバーの動画なんて全く見ない自分でもなんだか胸がスッとする。
後半になると「完璧な国」「鍵の国」とオチで背筋が凍る話が続く。またこの2話は前の「完璧な国」に次の「鍵の国」の話題が出てくる2つの話が繋がっている、キノの旅としては非常に珍しいパターン。
笑いの面では「満員電車が走っている国」。満員電車のこれ以上に有効な利用法はないわwww
と、色々と上げてきたけれど、今回の一番は間違いなく「女の国」。
「消えた国」に続いてとある国の問題に切り込んでいるような、日本の状況を極端に表しているような、どちらとも取れる絶妙な表現からの、思いもよらない着地点。あの化け物人にもこんな時代が!
そんなこんなで、今年もエッジの効いた笑いを楽しませていただきました。
アニメ、GYAO!では13日(金)から。夢のあとがきのアニメ化はあるのか!?