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「“不思議”取り扱います 付喪堂骨董店7」御堂彰彦(電撃文庫)

付喪堂骨董店〈7〉―“不思議”取り扱います (電撃文庫)
付喪堂骨董店〈7〉―“不思議”取り扱います (電撃文庫)

咲と刻也、二人は予期せぬ形で出会い、物語は始まりました。ですが、それは本当に偶然だったのでしょうか? 出会い、想いを育み、共に歩んできた今まで。そこに大きな偽りがあったとしたら──。この出会いは許されぬものだったのです。
都和子は決断します。大きな偽りによって歪んでしまった世界を正すことを。──自らの手で咲の命を奪うことを。
咲を守りたい刻也、殺さなければならない都和子。二人の哀しくも激しい戦いが幕を開けます。大きな偽り──咲と刻也の秘密とは? そして、二人を待ち受ける運命とは? これが、二人について語る最後の物語となるでしょう。


完璧じゃないけど最高の最終回だった。
どこか冷静な部分では回想がくどいかなとか、『魔道書』が万能すぎるなとか、その答えは屁理屈じゃないのか?とか感じているにも関わらず、心は揺さぶられた。涙が出た。どのシーンでもどんな場面でも、刻也がどれだけ咲が大切か、咲がどれだけ刻也を想っているか、この二つの想いが残酷な運命により痛みを伴って強烈に伝わってくる。
迎えた最終話、恒例である“二人”の第四章は、いつものようにベッタベタではないけれど確かに甘かった。ニヤニヤなんてとても出来ないけど今まで以上に幸せだった。刻也が出した答えは罪深くて都合のいいものだったけれど、本当の意味での“二人”になれた事実だけで十分だと思えた。
この先の運命を考えると大団円とは言えないけど、やっと手を取り合ってスタートラインに立てたことと、都和子さんが匂わせた可能性で、真のハッピーエンドへの希望が見えるエピローグは幸福よりも安堵に近い読後感。そして何より、咲が幸せに笑えたことが心の底から良かったと思える、これ以上ないエンディングだった。
何度でも言う、最後に咲が笑えて本当に良かった。