いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「サマーウォーズ クライシス・オブ・OZ」土屋つかさ(角川スニーカー文庫)

サマーウォーズ クライシス・オブ・OZ (角川スニーカー文庫)
サマーウォーズ  クライシス・オブ・OZ (角川スニーカー文庫)

ネット上の仮想世界OZで、“キングカズマ”として名を馳せる佳主馬は、ちょっとドジなアバター【マキ】と出会う。しかも【マキ】の本体である真紀は佳主馬がいるネットカフェの隣席におり、彼女が兄から預かったデータを狙う男たちに襲われていた! 真紀を助けた佳主馬は、男たちから逃げるうちにそのデータがOZに莫大な被害をもたらすものだと知るのだった。真紀とOZを守るため、佳主馬と“キングカズマ”は戦いに挑む!!

サマーウォーズ本編の3ヶ月前、キングカズマこと佳主馬を主人公にしたスピンオフ作品。



やっぱ栄ばあちゃんかっけぇ!!
頑張ってた佳主馬には悪いけど、一番目立ってたのはやっぱりこの人なんだよね。
やることのスケールの大きさは当然のこと、全てを見通しているような眼力に、悩む佳主馬を諭す言葉の重さやちょっとした冗談まで、さすがと言う他ない貫禄。出番は少なさを全く感じさせない濃さだった。これがあの一癖も二癖もある一族の頂点に立つ存在感か。


話自体もかなり面白かった。
多人数で次々に切り替わる視点のテンポが良さと、花札ではなくサイコロを使ったゲームと『放課後の魔術師』の作者らしさも十分に出ていたし、ストーリーも本編の雰囲気をそのままのドキドキ感。少年の成長譚でもあり、淡い恋の物語でもあり、本編のあの人たちの3ヶ月前がちょっと覗けて嬉しい最高のスピンオフ。
サマーウォーズにそこまで思い入れのない自分でも十分に楽しめた。