いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔王なあの娘と村人A 〜幼なじみは勇者です〜」ゆうきりん(電撃文庫)

魔王なあの娘と村人A―幼なじみは勇者です (電撃文庫)
魔王なあの娘と村人A―幼なじみは勇者です (電撃文庫)

ここはファンタジーの登場人物を育成する学校。でも《戦士》や《魔法使い》みたいな「個性」を持った連中はごく少数。大半は《村人》程度にしかなれやしない。
俺、佐東(さとう)もそんな《村人》の一人なんだが、ある日《魔王》の個性を持った女の子、竜ヶ峯桜子(りゅうがみねおうこ)に目をつけられちまう。小柄で意外に大人しい良い娘なんだけど人類滅ぼしたいとか不意に呟くのは勘弁してほしい。彼女に対抗意識を燃やす幼なじみの《勇者》の光ヶ丘翼(ひかりがおかつばさ)もやっかい。こちらも超絶美少女なんだが、思い立ったら一直線のトラブルメーカーで……。
板挟みの俺はどうすりゃいいんだ!?


これは良い魔王ですね。
設定が曖昧なせいで魔王というよりちょっとズレている女の子でしかないのだけど、デレていく過程がいい。
歯牙にもかけていないところから気まぐれで選んだ相棒に、そこから相談役に、そして・・・・・・と、段々距離が近付いていく距離感にニヤニヤ。
特に最後のデレ具合が破壊力十分。これは主人公の「ああ、くそ! やられた」という気持ちがよく分かる。
と、ヒロインは文句なしに可愛かったのだけど、他の要素がちょっと。
とりあえず《個性者》や別の世界《テイル・ユニバース》の設定が漠然としていて分かりにくい。《個性者》がほんのちょっと、別の世界は全く出てこないのが原因だと思うが、この1巻だけなら要らなかった設定といわざるを得ない。
それに主人公の幼馴染みの勇者が完全に要らない子。魔王の敵にも恋のライバルになれないただの噛ませ犬が、なんでサブタイトルになっているの?
魔王は可愛かった。でも今のところそれだけ。話として面白くなるかどうかは、次以降にこの変わった設定を上手く使えるかどうかかな。