いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版」谷川流(スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版(64ページオールカラー特製小冊子付き) (角川スニーカー文庫)
涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版(64ページオールカラー特製小冊子付き) (角川スニーカー文庫)

(前)
SOS団の最終防衛ラインにして、その信頼性の高さは俺の精神安定に欠かさざる存在であるところの長門が伏せっているだと? 原因はあの宇宙人別バージョン女らしいんだが、そいつが堂々と目の前に現れやがったのには開いた口がふさがらない心持ちだ。どうやら、こいつを始めとしたSOS団もどきな連中は俺に敵認定されたいらしいな。上等だ、俺の怒髪は天どころか、とっくに月起動を超えちまってるんだぜ?
待望のシリーズ第10弾!


(後)
団長閣下による難関極まりないSOS団入団試験を突破すっる一年生がいるとは思わなかったが、俺に押し付けられた「雑用係」という不本意な肩書を譲渡できる人員を得た幸運を噛みしめるのに、何のはばかりもないはずだ。なのに、ハルヒ同席のあのぎこちない再開以来、佐々木たちが顔を見せていないことが妙に引っかかるのはどうしてかね。類い稀なる経験に裏打ちされた我が第六感は、何を伝えたいんだ?
圧巻のシリーズ第11巻!

涼宮ハルヒ4年ぶりの新刊。



(前)
正直なところ前編はまるで面白くない。
それぞれが自分の考えや想いを持って回った言い方で主張しているだけの内容。イメージとしては、学校の教科で例えるならキョンは国語的に回りくどく、古泉は社会的に回りくどく、佐々木は理科的に回りくどい。
小難しいことをダラダラと喋る小説は嫌いじゃないし、元々キョンの婉曲で独特な一人称が面白いシリーズではあるのだけど、展開が停滞している状況でそれを延々と続けられるとさすがにうんざりする。
弱った長門や(19ページの挿絵は最高です!)、あの人の再登場でニヤッと出来るが、それも一瞬で終わり。後はいつになったら繋がる予兆が出てくるのかと、待っているだけで終わってしまった。
後編と同時に出てくれてよかった。4年待たされてこの前編だけだったら切ってたかも。



(後)
前編が全然楽しめなったので、後編で動き始めてからも面白くなかったらどうしようと思っていたのがだが、杞憂だった。
後編はこれまでの集大成みたいな印象。仕掛けは4巻に似ていて、βの悲壮感はエンドレスエイト、そして仕上げが1巻風味。ぶつくさ言いながらここぞでは頑張っちゃうキョンに、不思議現象時にはお姫様なハルヒ。ここでやっとハルヒの長編を読んでいるんだなと実感できた。
・・・って、驚愕ってそういうことかー!
あのハルヒが何に驚愕するのかと思ったら、まさかよb(ry
そのシーンも良かったけど、その前に行った未来は反則だろう。ニヤニヤが止まらない。
エピローグでは、古泉の危機回避論には物申したい。
あれの発端はただ佐々木の電話の邪魔をしたかっただけなんじゃないか、軽いヤキモチの発露だったのではと思うわけですよ。それがたまたま藤原(仮)の計画を邪魔しただけ。そっちのほうが「結構普通の女の子」という自分のハルヒのイメージに合うし、ものをはっきりと言えるヤスミの性格を考えてもしくりくる。ま、私個人の勝手な意見ですが。
集大成のような内容に少年漫画の打ち切りのような終わり方なので心配したが、おまけ冊子のあとがき読むと続きを書く予定はあるみたいで一安心。今回は長門の活躍が少なかったので、長編でも短編でももう一度長門押しの話が無いままを終わられたら困るw


キャラ押しといえば、
佐々木はハルヒより好きなキャラなので、短編とかでもう一回出てきてくれないかな。望み薄だろうけど。
そういえば橘は驚愕ではまったくもって要らない子だったね、可哀想に。