いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「トカゲの王 I 〜SDC、覚醒〜」入間人間(電撃文庫)

トカゲの王 (1) ―SDC、覚醒― (電撃文庫)
トカゲの王 1 (電撃文庫 い 9-22)

俺はこんな所で終わる人間じゃない。その他大勢が強いられる『普通の人生』から逸脱した、選ばれし者なんだ。
俺に与えられた能力『リペイント』は、インチキめいたまがい物。でも、俺には世界を“塗り替える”資格がある。このインチキこそ、俺の力なんだ。
どこまでもなにもかも騙し抜く。まず手始めに、俺自身も騙す。そして、目の前に立ちはだかる不気味な殺し屋どもから必ず逃げ延びてやる。
だって、俺は。『最強』なんだから。


口絵で一方さん何やってんスか?wwwと思ったら、中身は別物だった。当然のような残念なような。


そんなキャラデザを含め、他の学園異能もの(主に禁書)をリスペクトしつつ、小ネタもふんだんに詰め込んだ入間人間学園異能バトルもの。
入間先生が異能バトルするとこうなるのか。流石というかなんというか、捻くれていらっしゃる。
普通なヘタレ中学生男子(中二病、役立たずな能力はあり)が、突然異能同士がぶつかり合う血なまぐさい非日常に放り出されたらどうなるか、を主題にした作品。
人間の醜さや怖さなどの人間性を描くのは流石の上手さだし、時系列やキャラクターを曖昧にして、先を見せない構成力も見事。
ただし、冴えない能力でも頭を使ってなんとかするとか、奇跡の大逆転や敗北からの努力なんてものは無いので、異能バトルものとしての面白さは全くない。
入間作品のキャラクターが好きだ(どこかぶっ飛んでいる女の子も当然出てきます)という人にはオススメだが、オーソドックスな学園異能ものや少年誌的展開が好きな人には薦められない。
で、自分としては続きはなしの方向で。