いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「TOKYO GIRL'S LIFE II 〜絶対に後悔しない夢の諦めかた〜」菱田愛日(メディアワークス文庫)

TOKYO GIRL’S LIFE〈2〉絶対に後悔しない夢の諦めかた (メディアワークス文庫)
TOKYO GIRL’S LIFE〈2〉絶対に後悔しない夢の諦めかた (メディアワークス文庫)

恋を忘れた仕事人間・遙希。恋愛至上主義の腰掛けOL舞衣。音楽の夢を追うフリーターの佳奈子。東京の片隅のBar[シュガー&ソルト]で、3人の奇妙な友情は深まりつつあった。
ある日舞衣の発案により、3人は[シュガー&ソルト]で合コンをすることになる。恋愛に臆病な遙希は乗り気ではなかったが、佳奈子はそこでジャズグループのオーディションを受けるチャンスを手にする。遙希も舞衣も佳奈子を応援するのだが、このオーディションが3人の友情を揺るがす事態に発展して――!?
夢に仕事に恋愛に――頑張る女の子達の等身大物語!

全くタイプの違う三人の女性の友情物語、続編。




表紙どおりに今回のメインは佳奈子。彼女のテーマは夢。
プロのサックス奏者という夢を追い続ける彼女の「努力できる」という才能には遙希同様格好良いと思ったが、その道のりに悩む潔癖さがどうにも理解できなかった。……汚い大人でごめんなさい。
というより、この三人だと共感できるのは遙希だけなんだけどね。友達でも時々疎ましく思う一人でいるのが好きなところもそうだし、断るのが下手だったりここぞで逃げだったりという負の面もよく分かる。なので、どうしても遙希目線で後の二人を追うことになるのだけど……
そのせいでハイライトである喧嘩のシーンはつらかった。二人に入り込めない居心地の悪さも、止めたくても悪化させてしまう恐怖も、吐き出させた方がいいんじゃないかという考えも全部わかる。だからこそきつい。
しかし、女性同士の本気の言い合いというのは男の喧嘩よりもよっぽどハラハラするのはなんでだろうね。と少々、いや大いに引いてしまった一方で、これだけ本音をぶつけ合える間柄が羨ましくも思えた。
その後の仲直りは……遙希さんクサいよ! でもその不器用な実直さが好ましい。
なんだか前より大人の女性達という感じは薄れてしまったけど、前の話よりもさらに「友情」の濃い話で、雨降って地固まるな結果に大満足でスッキリして読み終わった。良い読書時間だった。
まだ舞依が表紙になってないから、最低もう一冊は出ますよね。そうなると今度こそ恋の話になりそうかな。