いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「リリーベリー イチゴショートのない洋菓子店」大平しおり(メディアワークス文庫)

リリーベリー―イチゴショートのない洋菓子店 (メディアワークス文庫)
リリーベリー―イチゴショートのない洋菓子店 (メディアワークス文庫)

「みなさんには、ケーキのように愛おしい宝物はありますか?」――大切な想いが込められたものには、必ず他人を魅了する力があります。それはケーキにも、お店にも、そして、人にも……。
女子大生・中屋明海が訪れた噂の洋菓子店「リリーベリー」は不思議な店でした。一年間限定開店、店に置かれるケーキは一日一種類のみ、そして、スイーツの主役であるイチゴショートがないこと。
そんな店に疑問を抱く明海でしたが、ある事件をきっかけに、パティシエ兼店長でどこか冷めた性格の青年・竹下望と一緒に働くことになってしまい――!?


いやー、パワフルな女の子だったわ。
可愛らしい表紙やあらすじからは想像できない、元気に動き回るヒロインと小ネタ満載の笑える話だった。
大筋では宝石のようなケーキが並ぶ洋菓子店でパティシエと女子大生の恋の話という大変少女漫画チックな内容なのに、それをヒロイン・明海がいい意味でぶち壊してくれる。
そのスペックは、肉食系(恋愛強者ではなく焼肉大好きな肉食)で愛車は黒い原付or軽トラ。盆踊りをロックに踊り、餅を投げればおじさん達を薙ぎ払う強の者。
しかも、主要メンバー以外の登場人物がことごとくコメディ要員というおまけ付き。藤原、今井、鈴木教授……ネタキャラ多すぎだろw
内容的には新人らしく説明下手でお菓子の描写がそそられなかったり、各キャラの行動理由にピンと来なかったりと首を捻る個所は結構あるが、それを補って余りある陽の気が溢れている。
作者岩手出身なのか。キャラクターたちがやけに江戸っ子気質なので東京人なのかと。
甘味を求めて買ったので想定外だったけど、楽しい読書時間だった。
恋も店もスタートラインに立ったところだから続きが出るかな? 電撃でラブコメ書いても面白いものが出てきそう。