いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔法少女育成計画 episodes」遠藤浅蜊(このライトノベルがすごい!文庫)

魔法少女育成計画 episodes (このライトノベルがすごい! 文庫)
魔法少女育成計画 episodes (このライトノベルがすごい! 文庫)

魔法少女育成計画』『魔法少女育成計画restart』で、過酷なゲームを繰り広げた魔法少女達。そんな彼女達に魅せられた読者の声にお応えして、短編集がついに登場! ほんわかした日常や、少女達の不思議な縁や、やっぱり殺伐とした事件などなど、本編の裏側エピソード山盛りでお届けします! もちろん魔法少女は33人全員登場。本編と合わせて楽しんでいただきたい一冊ですが、この本からシリーズを読み始めるというのもアリ、かも!?

無印とrestartに登場した33人の魔法少女が総出演する短編集。全15話と和数多めなため、一話ずつはちょっと短め。



おおう、普通だ。本当に日常だ。
一部スプラッタだったり堅気じゃなかったりするが、概ね若者(主に女子)のちょっと不思議付きな日常が描かれている……はずなんだけどねえ。
大体が本編より以前の出来事なので本編の惨状を知っていると、その後の彼女たちの結末が思い出されて、切なさが込み上げたり叫びたくなる衝動に駆られる。特にこの日常で明るければ明るいほど胸に来る。トップスピードやアカネとかもうね;;
こうやってキャラクターを掘り下げることで本編での痛みを倍加させるとは、全く新しいタイプの短編集なのではなかろうか。日常系らしい余韻を残すのが後日談の最終話だけという時点で普通の短編集ではないが。
なんだかあらすじに「この本からシリーズを読み始めるというのもアリ、かも!?」なんてあるけど、やめて! ここから読み始めて勘違いしちゃったら、本編読んだときに大惨事になるから!
という1割冗談はさて置き、本編を読んでいないとこの切なさが味わえなくて勿体ないでしょう。
基本的にほんわか日常系なのに切なく痛い。違った切り口からこのシリーズの真髄を味わえた一冊だった。