いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「クラッキング・ウィザード 鋭奪ノ魔人と魔剣の少女」紫藤ケイ(このライトノベルがすごい!文庫)

クラッキング・ウィザード ~鋭奪ノ魔人と魔剣の少女 (このライトノベルがすごい! 文庫)
クラッキング・ウィザード ~鋭奪ノ魔人と魔剣の少女 (このライトノベルがすごい! 文庫)

天空都市《ヴァラスキャルヴ》の一画で探偵を営む主人公・ヴァルは《鋭奪ノ魔人(クラッキング・ウィザード)》の異名を持つ天才的グラムハッカー(魔術探偵)。そんな彼の元に魔術器具会社の社長令嬢エーレフォーアがやってきて、母の形見である腕輪の奪還を依頼する。超おてんばな彼女にてこずりながら仲間の情報屋やハッカーの力を借りて腕輪のありかを突き止めるが、その裏にはある人物の黒い思惑が……。ヴァルは彼女の願いを叶えることが出来るのか!?


魔法の力で浮かぶ天空都市が舞台で、人間誰しも魔術が使えるという魔法がメインのファンタジー
ではあるのだが、都市は近代化しているし魔術の使い方は現代のネットの世界・情報技術に近い使われ方をしていて(但し一般的なイメージ、RPG風の魔法のような使い方もできる)、ファンタジーというよりSFチックな世界観。ハッカーたちのフィールドは攻殻機動隊の電脳世界に近いイメージのだったのだけど、合ってるのかな?
そんな風に舞台はしっかり作り込まれていて全体的に硬派なイメージのある世界観だが、キャラクターの口調がかなり砕けていてコミカル。会話はテンポが良くサクサク読める。また、ヒロインが連れている魔精霊やハッカーが魔術領域(仮想世界)内で使うツールが可愛らしかったりして、作品に重い印象を与えない。ケルベロスかわいいよケルベロス
最も盛り上がるのがリアルと仮想世界の二元中継アクション。
猪突猛進なヒロインの派手な暴れっぷりと、それをサポートしつつ仮想世界の他の敵とは頭脳戦で戦う主人公・ヴァルの二つが同時に楽しめる。
ヴァルの悩みが子供っぽい印象を受けるのと、デレずに見守る方向に行ってしまうヒロインが少々残念だが、それを補って余りある、潜入作戦のワクワク感と強大な敵を倒す爽快感があって面白かった。



この作品最大の弱点はヒロインの名前が長くて覚えにくいこと! エー……なんとかさん。エーちゃんでいいよねw