思い出のとき修理します 2 明日を動かす歯車 (集英社文庫)

寂れた商店街の片隅に佇む、「おもいでの時 修理します」という不思議なプレートを飾った飯田時計店。店主の時計師・秀司と、彼の恋人で美容師の明里のもとを、傷ついた記憶を抱えた人たちが訪れる。あの日言えなかった言葉や、すれ違ってしまった思い――家族や恋人、大切な人との悲しい過去を修復できるとしたら?
切なく温かく、心を癒やす連作短編集、シリーズ第2弾。
連作短編形式の少し不思議付きハートフルストーリー第二弾。
前回で晴れて恋人同士になった秀司と明里。
二人とも大人なので表面上は落ち着いているけど、中身は付き合い始めの醍醐味が随所に出てて非常に甘くて読んでいて幸せな気分になった。
特に明里は自分の意思を表現するのが苦手で恋愛の失敗経験もあるので、距離を縮めることにおっかなびっくりだったり些細なことで自己嫌悪に陥ったりと、過去の傷が時々顔を出すのだけど、彼女が各話で人の機微に触れながらちょっとずつ雪解けするかのように、秀司との距離を近づけていく様子はじわーっと幸福感が広がっていくようで、どうしたって顔がほころんでしまう。まずは家族から、それから夫婦の話へという話の流れも彼女を後押しする意味があるんだろうな。
それに加えて、後半の話になるとおおらかで懐が深いように見える秀司にも自信のないところが見え隠れして、彼女だけじゃなく二人で恋愛をしてるんだというのが分かるのがまた良い。二人して可愛いなあ、もう。
2巻が出たのも意外だったけど、まだ続いてくれるかな? 行く末は当然気になるし、もう少しこの二人を見守っていたい。
気になると言えば話を重ねるほどに深まる太一の謎。今のところ彼はカラスじゃないかと思っている。