いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ユート 拉致から始まる異世界軍師2」吉野匠(このライトノベルがすごい!文庫)

ユート 拉致から始まる異世界軍師 2 (このライトノベルがすごい!文庫)
ユート 拉致から始まる異世界軍師 2 (このライトノベルがすごい!文庫)

異世界―リュトランゼ王国に召喚され、軍師という役割を与えられた秋山優人。敵国との戦いで大きな戦果をあげ、重要人物となったはいいものの、それ以来優人はすっかり暇を持て余していた。そんなある日、優人は城の前で小さな女の子と出会う。ゴシック風のドレスを着て、巨大な荷物を背負った奇妙な格好の金髪の少女は、優人を「予言された人」と呼び、強引に唇を重ねてきた…。吉野匠が贈る異世界ファンタジー、第2章スタート!


これ、どこをどうやって楽しめばいいんです?(^^;
ジャンルが迷子。





異世界ファンタジーとして読むには命も王族の立場も軽すぎる。
一歩間違えば死ぬような状況でも所構わず盛っている女性陣に、「誰も死なせたくない」という主人公の想いとは裏腹に舞台装置のように死んでいく兵士たち。自分の立場を考えずに突っ込んで何度も同じように捕まる女王は笑いどころのような気もするが、雰囲気が真面目でそういう空気じゃないんだよなあ。
かと言ってラブコメとして読もうとしても、状況説明が多くてキャラクターの掘り下げはあまりない=ヒロインたちの魅力が多く語られているわけでもない。そもそも状況を省みないヤキモチ合戦をしているだけでキャラクターの個性が全然ない。
典型的な爆発オチだったので、ギャグ小説だったのか!と思い起こしてみたが、これと言ったネタもなければ笑わせようとする気配もなかった。
また、なるべく難しい表現を避けるような噛み砕いた言葉選びが多いので中高生よりも下の年代を狙っているのかとも思ったが、常用漢字以外もどんどんルビなしで使っている。
何をメインに書きたいのか、どの年齢層をメインターゲットにしたのか、コンセプトもビジョンも何も見えなかった。
とりあえず「シリアスとコミカルのメリハリがない作品は駄作」という自分の判断基準に照らし合わせると、間違いなく駄作。