いつも月夜に本と酒

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「見習い神官レベル1 〜だけど、この手を離さずに〜」佐々原史緒(ファミ通文庫)

見習い神官レベル1 -だけど、この手を離さずに- (ファミ通文庫)
見習い神官レベル1 -だけど、この手を離さずに- (ファミ通文庫)

多くの犠牲と謎を残し、砂の巨人となり滅びたペルスカ。その黒幕と思しきリベカを警戒し、ヨシュア達は太守ダルタスを護衛してルステラへ赴くことになる。だが現れたのは偽教師だった破戒神官。そして彼女を追って、雷凰の対・雷鳳の少年が襲来する! 神々の禁忌を犯したリベカを捜しているという彼は、人と神魔の婚姻もまた禁忌だと告げてきて――。「リベカ様を助けて」と願う敵と明かされる神魔の秘密を前に、ヨシュアが選ぶ道は!? シリーズ堂々完結!!

急展開で最終巻なシリーズ第4弾。……って終わりかー。もうちょっと続くと思ったんだけど。
ルステラへの旅へ強引についてきたお子様たちによって、いつもの軽いやり取りは息抜き程度にあるものの、基本的には珍しくシリアス。前回の事件を思いっきり引きずっている上に、主に動くのが生真面目なヨシュアと堅物のアフェクだからね、仕方ないね。
その御一行に襲いかかるのは、リベカではなく雷凰・スーリィンの対となる存在の雷鳳とさらに上の神魔。ラストらしく敵のレベルが一気に跳ね上がり、話のスケールも神話レベルに跳ね上がる。
最後にして明らかになった壮大で人類には絶望的な世界の秘密に唖然。圧倒的で理不尽な力に茫然。
それらに自らを捨てて抗うヨシュアだが、いったい何のために足掻いているのか。儚く散った姉の為か、引き離された妻の為か。虚しさすら漂う戦いの中、妻スーリィンが出した答えは……
ぶわっはははははっ
こんなん笑わずにいられるか!
突然のスケールアップへの戸惑いも、仲間に漂っていた悲壮感も、らしくないシリアスな空気も、全て吹っ飛ばしてくるとんでもない結論に破顔一笑。怖いわー、恋愛脳怖いわーw
ここで終わってしまうのが残念な気持ちはもちろんあるが、ハッピーエンドだと自信を持って言える終わり方で満足。こんな笑顔のラストを迎えさせてくれたスーリィンはまごうことなき良妻ですわ。