いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「りゅうおうのおしごと!2」白鳥士郎(GA文庫)

りゅうおうのおしごと! 2 (GA文庫)
りゅうおうのおしごと! 2 (GA文庫)

「私はあなたを師匠だなんて呼ばないから」
竜王』九頭竜八一の前に現れた黒衣の少女は高飛車にそう言い放った。
夜叉神天衣。小学4年生。
弟子と同じ『あい』という名を持つJSの教育を将棋連盟会長より依頼された八一は密かに特訓を施す。
だがそれが弟子にバレた時――かつてない修羅場が訪れた!
「ししょう……? だれですか? その子……?」
はじめてのライバル、はじめての修羅場、そしてはじめての家出……幼い師弟に訪れた危機を乗り越え、二人のあいを救うことができるか!?
悲しみの雨に閉ざされた少女達の心に、若き竜王の角が虹を描く!!

あいのライバルになるもう一人の“あい”夜叉神天衣登場の第2巻。
今度の“あい”は高飛車わがまま娘。素直で無垢なあいとは正反対。それだけでなく棋風は攻めのあいと受けの天衣で、イメージカラーは白と青のあいに黒と赤の天衣と見事に正反対。そんな相容れない二人は今回、最悪の初顔合わせ+初対戦の短い競演だったのに、それでも濃いシーンを見せてくれたので次からの掛け合いが楽しみ。
それはそうとあいちゃんアレですね、ヤンデレの気がありますね。
キレた時の様子が姉弟子・銀子と被る。イメージカラーがどっちも寒色系だし、結構似た者同士なんじゃないか?
是非二人でやりたい放題なロリ竜王ととっちめてください。まあ、その前にシャルちゃんへの所業が銀子にバレた瞬間に頓死確定か。いえすろりーたのーたっち!
と、ロリネタで色々と遊んでいるギャグパートも楽しいが、今回面白いのは圧倒的にシリアスパート。
まずは何と言っても将棋の描写。
レッスンや修行中の対局などの本番でないところでも、所々でピリッと緊張が走る瞬間があってそこそこで読み応えがあるが、一番はやっぱり本番。あいvs天衣、名人vs竜王の真剣勝負の緊張感は本物。その空気に飲まれて呼吸数が少なっていたと思う。
そして、もう一つの読みどころがあいの涙。
物事に真剣に打ち込んでいるからこそ出てくる本気の悔し涙に思わず貰い泣きしそうに。その涙にはただの傍観者(読者)にもこの子は間違いなく強くなると思わせる力があった。
ギャグ良しシリアスなお良しで、2巻も最高に面白かった。