いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「遺跡守護者」卯月亜矢(ファミ通文庫)

遺跡守護者 (ファミ通文庫)
遺跡守護者 (ファミ通文庫)

古代魔法遺跡が集中する遺跡破りのメッカ、カンツァー王国。遺跡を巡る旅をしている不運な戦士ロディとリーゼンハイト教団の神官で幼馴染のライシャはその道中、辺境警備官コルナや凄腕の遺跡破りダナウ、そして心が欠けた、人形のような少女ノイと出会う。ノイと行動を共にすることにしたロディたちは、やがて彼女に秘められた大いなる謎に巻き込まれることになってしまい……! 古代遺跡を舞台に贈る、ミステリアスファンタジー

ミライショウセツ大賞優秀賞受賞作。



表紙、あらすじ、設定、キャラクター、文章、芸風。
全てがここまで噛み合わない作品も珍しい。



以下酷評


この表紙、このあらすじでギャグ小説ってあんた、そりゃねーよ。
最近、絵師選びとあらすじのセンスが無さすぎる編集者が多すぎじゃない?
でもまあ、第一印象に反してギャグ小説だったことに関しては作者の責任ではないから目を瞑るとして、それを差し引いてもあまりにもチグハグ。
とりあえず、キャラクター達が持つ重い過去と文章のテンションが全く合っていない。最たる例が表紙の少女・ノイ。存在感が希薄な儚い少女で保護欲をくすぐる良いキャラクターに仕上がっているのだが、内容がギャグ小説なので会話に入って来なくて完全な空気。折角のキャラが全く生かせていない。こんな思いっきりシリアスに振った設定で何故ギャグ小説にしようと思ってしまったのか。
それでもまだ笑える内容なら救いがあったのだけど、ギャグセンスも感じられない。
同じことを繰り返しさえすれば笑いが取れると思ってない? 天丼ってそういうものじゃないから。
あと、キャラクター弄りが下手なのもいただけない。誰か一人が割食って周りがへらへらしている状況というのは、書き方やキャラ設定を相当上手くやらないと、ただのイジメにしか感じない。本作のそれは、はっきり言って不快だ。
さらにもう一つ言わせてもらうと、恋愛模様が小学生レベル。
ちょっと一緒に居ただけで好きになっちゃうって、恋に恋するお年頃じゃないんだから。ドラマのない恋愛模様が面白いわけない。
総じて方向性が見えない。統一感がない作品はパーツがどんなに良くても小説としては駄作だ。