いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「おいしいベランダ。 午前1時のお隣ごはん」竹岡葉月(富士見L文庫)

おいしいベランダ。 午前1時のお隣ごはん (富士見L文庫)
おいしいベランダ。 午前1時のお隣ごはん (富士見L文庫)

進学を機に一人暮らしを始めた栗坂まもりは、お隣住まいのイケメンデザイナー亜潟葉二に憧れていた。ある時ひょんな事からまもりは葉二に危機を救ってもらうのだが、それは憧れとはほど遠い、彼の真の姿を知る始まりで……!?
普段着は黒縁眼鏡にジャージ。ベランダを鉢植えとプランターにあふれ、あげくに草をむしって食いながら「会社辞めてきた」って大丈夫このヒト!?
ベランダ菜園男子&野菜クッキングで繋がる、園芸ライフラブストーリー、スタート!

現在ブーム真っ只中の食べ物小説の中でも、ベランダ菜園×男料理というのは流石にこれだけではなかろうか。
メニューはアドリブで野菜は皮ごとで葉も使う大雑把な男の料理と、採れたて野菜をその場で使えるベランダ菜園がベストマッチ。出てくる料理がどれも旨そうで腹が減ることこの上ない。採れたて蒸し野菜はガチ。個人的にはヤングコーンが一番ヤバかった。でもベランダだと背が高くなり過ぎない? 大丈夫ならちょっとやってみたいかも。 
(ただ、作中では芋虫の描写が一回きりだったけど、ここん家のベランダは虫が凄いことになってると思う(^^; 高い階でも飛べない奴らもどこからともなく現れるのよね。あいつらどこから湧いて出るんだろう)
話の大筋は、大学生になって一人暮らしを始めた女子大生が隣のお兄さんに憧れるラブストーリー。
と書くと恋に恋する夢見がちな少女を想像しがちだが、主人公のまもりは地に足のついているタイプの女子で、何より行動的。きっかけさえあればどんどんお隣に押しかけていく積極性で物語もどんどん動く。思いやりはあるのにデリカシーゼロの変人の隣人・葉二とのコンビも面白く、コミカルにサクサク読める。それでいて最後はしっかり恋愛ものになっているのがにくい。
ラストは綺麗に終わっているが、もしかしたらまもりが“育てられる”ところが読めるかも?