いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン X」宇野朴人(電撃文庫)

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (10) (電撃文庫)
ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (10) (電撃文庫)

帝国から亡命を図るアルデラ教徒に、捕虜収容所から脱走したキオカ海軍が加わることで力を増す敵を見て、シャミーユは安全のために東へと移動する。一方、ジャン率いるキオカ陸軍に東から追撃され、マシュー少佐らは西に向かって撤退していた。やがてシャミーユとマシューたちは合流。しかしそれは、彼らが東西から敵に挟まれることを意味していた。
絶体絶命のピンチに陥る、シャミーユ、トルウェイ、マシューたちカトヴァーナ帝国軍。もはやこれまで……と思ったとき、そこに現れたのは――!
胸の熱くなる展開に涙する第10巻!


ついにやっとやっと主人公が復帰した第10巻。
厳しい状況の中でもちょっとした笑いを提供してくれるその余裕と、登場人物たちと一緒に読者もイクタの掌の上で転がされているこの感触。そう、これだよ。久々に、本当に久しぶりに『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』読んだ気がした。
イクタが帰ってきて戻ったのはそれだけじゃない。
人が変わってしまった姫様にトルウェイも、一人正気を保ちながらも弄り手不在で焦っている姿しか見せてくれなかったマシューも、5人揃っていた頃の顔を見せてくれた。さすがにヤトリは戻ってこないけれど、騎士団のメンバーに感情が戻ったことに大きな安堵感があった。
そしてハロ。
作中でもヒロインという意味でも不遇だった彼女が、少しでも報われたことに素直に感動。
前半で復帰早々相見えたジャンの戦略と最後のハロの処遇に、これまでの流れと違う甘さを感じるところもあるが、そこは主人公復活に対するご祝儀ということで。今まで打ちのめされてきたのだから、たまにはハッピーな結末でもいいじゃない。
イクタが帰ってきてエピローグでは大いにクセのある新メンバーも加わって、次回話がどう展開するのかとても楽しみ。