いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「楽園への清く正しき道程 国王様と楽園の花嫁たち」野村美月(ファミ通文庫)

楽園への清く正しき道程 国王様と楽園の花嫁たち (ファミ通文庫)
楽園への清く正しき道程 国王様と楽園の花嫁たち (ファミ通文庫)

「僕は、王妃を探しに行くよ」
降りしきる雪の中、置き手紙だけを残して、ひとり城を出て行ったカテリナ王妃。彼女を連れ戻す決意を固めたルドヴィークは、彼の無事を祈る五人の寵姫たちと、しばしの別れを告げる。しかし、必死で探し回るうちに激しくなった雪で視界が阻まれ、足を滑らせてしまい……。『七番目だけは、永遠に手に入らない』――青い髪の少女が告げた言葉の本当の意味を理解したその時、ルドヴィークが選ぶ答えとは……!? シリーズ、完結。

最終巻。
大変失礼な感想ではあるのだけど、上手くまとめて上手く締めたなという印象が強い。3巻とこの4巻で無理して終わりまで持ってきたのが誰の目にも分かってしまう超スピード展開で、必然的にダイジェストになっているのだけど、それをファンタジー要素を絡めて不自然じゃない形にまとめているのが見事の一言。
ただ、当初からこのシリーズの核であった「7番目」に関しては、ルディがあの人自身に強烈に惹かれるストーリーになっていれば、切なく美しい野村作品の真骨頂のような物語が読めた気がするのが心残りではあるけれど。
それでも、終盤は底抜けに陽気で幸せオーラを振りまいていて読後感はとてもいい。
特に3巻の後半から焦点をメインヒロインに絞ってくれたおかげで、カテリナの心情が深く知れて二人が再開してからのカテリナがめっちゃ可愛い。言葉だけを拾うと最低のクズ野郎になってしまうルディと、ツンデレが極まったカテリナの痴話喧嘩からのイチャイチャが色々な意味で笑顔をくれる。やはりツンデレを書かせたら右に出るものはいないな。
作者の切ない系の話が好きな身としてはちょっと好みと外れる物語だったのに、それでもツンデレお姫様を筆頭に女の子の可愛らしさで十分に楽しめるシリーズだった。作者が思い描いた形で進んだらどんな物語になっていたんだろう。あとがきの「最後のお仕事」の文字が悲しい……。