「ヴィヴィ・レインを見つけて」。義妹の願いを胸に、スラム街の少年は旅に出る。限られた命を生きる人造の少女と意志を持つ機械兵。滅びゆく王国の姫、性別不詳の天才操縦士、皇帝に捨てられた侍女の子ども……。旅の途中、それぞれの傷を抱えた仲間たちと出会い、やがて少年は「災厄の魔王」と称され、楽園に支配された世界へ反逆の旗を翻す。ヴィヴィ・レインを捜す、ただそれだけだった小さな旅はいつしか時代のうねりとなり、世界を変革する戦いへ――。傷だらけの少年少女が織りなす恋と会戦の物語、開幕。
濃厚な悲恋の気配、近代風ファンタジー、古き良きジブリっぽさ。『とある飛行士シリーズ』イズムを正統に受け継いだ犬村小六作品といった印象。思いっきり『ラピュタ』な表紙とオープニングでヒロイン確定かと思ったら、あっさり退場させる非情さも作者らしい。
舞台は主人公が暮らす世界・グライスランドの他に、先進文明で上から見下ろすエデンという世界と、煉獄と呼ばれる魔法と魔物の世界・ジュディカが存在する三層構造の世界。文明が進んでいる国が上空にあるのは前シリーズのウラノスと同様だが、今度はさらに下があるのが興味深い。まあ一度は落とされるんだろう。
また『とある飛行士シリーズ』は主人公の方が大事な/大好きなヒロインを助けるという構図が多かったが、今作はヒロインの方が主人公に強く惹かれているのが今のところ一番の違いか。その関係性と二人の性格のおかげでより悲恋の気配が濃くなっている。
下層の婆さんからヴィヴィ・レインは誰だクイズが出されたところで1巻は終了。あの人のあの数字が0になるか何かすると紋章が現われるのが一番ありそうだが果たして……。
ヴィヴィ・レインの秘密と世界の未来、そして何より恋の行方。続きが楽しみなシリーズだ。
