いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「君の名は。」新海誠(角川文庫)

小説 君の名は。 (角川文庫)
小説 君の名は。 (角川文庫)

山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は、自分が男の子になる夢を見る。見慣れない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。一方、東京で暮らす男子高校生・瀧も、山奥の町で自分が女子高校生になる夢を見る。やがて二人は夢の中で入れ替わっていることに気づくが――。出会うことのない二人の出逢いから、運命の歯車が動き出す。
長編アニメーション『君の名は。』の、新海誠監督みずから執筆した原作小説。

新海誠監督の作品には大抵男女のすれ違いやズレがメインのテーマとしてある。また、物語の内容がSFやファンタジーなのにも関わらず、結末(または結末が予感させるもの)は極めて現実的な「別れ」である印象が強い。
過去に小説版『雲の向こう、約束の場所』と『秒速5センチメートル』でトラウマを負った私は、正直に言って新海作品を敬遠していた。映像美や表現の豊かさの魅力は分かるが、最後の最後に現実を突きつけられるオチが好きになれないからだ。そこに来ての映画『君の名は。』の大ヒット。ここまで万人受けしているという事は、ハッピーエンドなのではあるまいか?ということで手に取ってみた。
第一印象は「ビックリするほど普通」。後追いではあるものの『ほしのこえ』から新海ワールドに入った身としては、クリエイターでなくとも誰しも一度は妄想していそうなよくある設定だったことが逆に驚いた。
でもそこは新海ワールド。入れ替わった二人が相手に感じるあれこれの表現の仕方や、祖母ちゃんが孫二人に言い聞かせる言葉など、印象的な言葉の数々に徐々に面白くなっていき、入れ替わりが止まってからの展開、主に懸命にもがく瀧の必死さにいつの間にか引き込まれていった。
そして予想はしていても驚きだったのがラスト。同じ再会でも大きな差が生まれてしまった『ほしのこえ』のそれとは違う、未来が感じられるラストに感動。(ただ、もしこの続きを新海監督自身が書いたならこの二人は別れる気しかしないが、それはまた別の話。)
地理的にも時間の余裕的にも劇場に足を運ぶのは無理だけど、TV放映されたら絶対視よう。