いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「小暮写眞館 I」宮部みゆき(新潮文庫nex)

小暮写眞館I (新潮文庫nex)
小暮写眞館I (新潮文庫nex)

築三十三年、木造二階建て。臨死状態の古びた商店街にひっそりと佇む「小暮写眞館」。都立三雲高校に通う花菱英一は、両親の趣味により、この写真館に住むことになる。そして、弟を含めた家族四人の暮らしが始まった矢先、ひとりの女子高生が持ち込んだ不思議な写真をめぐる謎に、英一自身も関わることになり……。写真に秘められた物語を解き明かす、心温まる現代ミステリー。

これは、、、2冊同時に買ったのは失敗だったかもしれない。
心温まる現代ミステリーとあるから、一枚の写真から家族や友人、恋人なんかの過去を紐解く話なのかと思ったら、予想外にオカルト路線の話だった。なので問題は一応の解決をみるが、不思議は不思議のまま。モヤッとした読後感はオカルトかホラー小説ならではだろう。
いや、そこが予想外だったのは別にいいんだ。ホラーはともかくオカルトは嫌いじゃないし、読書において予想を裏切られるのは大抵の場合歓迎だし。
問題は主人公の花ちゃんこと花菱英一くん高校一年生。彼が全く理解できなかった。
変なこだわりを持つ両親に対する煙たさとか、出来のいい弟やさらに出来のいい幼馴染みに対するコンプレックスを垂れ流している序盤は、好きになれるかは別として理解はできていたつもりだったのだけど、いざ本題の写真の謎を追う段階に入ったら、完全に理解できない人になった。
彼は何故こんなにもブーブー文句を垂れながら、自分の行動に意味が無いことに気付きながら、見ず知らずの不愉快な女子に叩きつけられた心霊写真の真相を一生懸命探っているのだろうか? 考え方、行動原理、責任感を感じるポイント、プライドに触るポイント。どれもが理解不能だった。
それでも彼の中で捜査が楽しいものになっていったのなら、後半は楽しめて納得できる結末だったのかもしれないのに、結局謎の責任感だけで突っ走っていったので、どこにも腑に落ちる点がなかった。あースッキリしない。
数は少ないながら、過去読んだ宮部みゆき作品にはマイナスの印象はなかったが、この作品はとことん合わなかった。