いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「居酒屋ぼったくり7」秋川滝美(アルファポリス)

居酒屋ぼったくり〈7〉
居酒屋ぼったくり〈7〉

東京下町にひっそりとある、居酒屋「ぼったくり」。
名に似合わずお得なその店には、旨い酒と美味しい料理、そして今時珍しい義理人情がある――
旨いものと人々のふれあいを描いた短編連作小説、待望の第7巻!

うーん、面白くなかったわけではないが……。
7巻にもなると流石にネタ切れか?と心配になる内容だった。
商店街の小さいコミュニティの中にある居酒屋で、身近な問題を身近な人たちと考えたり年配者たちに助言を貰ったりするところに人情を感じる。また、その問題提議に対して考えさせられる。そこがこのシリーズの醍醐味だと思っている。今回も煙草と認知症の話題までは話は重めながらもその体を保っていたけど、その後の問題は現実感がなくて首をかしげるばかり。
要さん本人は別にいいけど、彼の家族が関わってくると異物感が半端ない。その前にトモが連れてきた友人もそうだけど、作者の高貴な人への憧れの強さはなんなんだろう。ちょっと付いていけない。
でも、そういう各話の話題よりも深刻なのが料理と酒。
特に料理の描写がかなり少ない。そもそも章扉のお品書きの品数が明らかに少ないのに、中身も実にあっさり。いつもはどれも食べてみたいと思わされて毎回何かしらを自分で作ってしまうほど、美音さんの作る気取らない料理が好きなのに、今回はそういう気が起きなかった。
人情話も料理も酒も、質も量も落ちたせいで物足りなさが凄い。
要関連の問題は一区切りついたようだから、原点回帰してくれないかな。