いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。12」渡航(ガガガ文庫)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。12 (ガガガ文庫)
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。12 (ガガガ文庫 わ 3-22)

バレンタインデーのイベント、水族館での雪の日を経て、自分たちが踏み出すべき一歩を定める八幡たち。そんな奉仕部に、ある大きな依頼が持ち込まれる。その依頼に対して、雪乃が決意と共に出した答えとは……。――たとえ、その選択を悔いるとしても――。時間の流れがいつか自分たちを大人にするのかもしれない、出会いと別れを繰り返して人は成長するのかもしれない。でも、いつだって目の前には「今」しかなくて――。それぞれの想いを胸に抱えながら、八幡、雪乃、結衣が選ぶ「答え」とは。新たなる青春群像小説、物語は最終章へ。

先生まずいですよ!
ブランクの所為で使われているネットスラングが一新されていて、後々通して読むと「あれ? 前の巻と文章がなんか違くね?」って状態になってますよ。
と、二年も間が開いたことへの弄りはこれくらいにして、


本当にまずいのはそこじゃない。それでなくても劣勢のゆきのん派が解体されかねない勢いで、ガハマ派に流れるぞ、これは。
雪乃が決断と行動をする回のようで、それを見守る結衣の心情がメインと言って過言ではないこの12巻。
ズルしたみたいに勝ちたくないから、心のどこかで負けを認めてしまっているから、自分だけ助けられているのはフェアじゃないからと、雪乃が本音を言ってくれるまで、ずっとずーっと待っている結衣の心情が切なくて辛くて。それなのに雪乃は自分でいっぱいいっぱいでそこまで辿り着く気配が一切ないというジレンマ。「そっちが来ないんなら掻っ攫ってやる」くらいの気概の持ち主なら、例えば結衣のポディションがいろはすだったら物語になる前に勝負が付いてるだろうに。ゆきのん派の自分でもガハマさんが報われなさすぎて、いい娘すぎて泣けてくる。
まるで八幡のお兄ちゃん気質が悪いかのように語られているけど、これは雪ノ下家が悪いよね。
お宅の妹さんがなかなか同じ土俵に上がってくれないから、泣かなくていいところで泣いている子が一人いるんですよ。まったくお宅の教育はどうなっているんですか。
不穏な空気を漂わせたところで次回へ。
八幡にはあそこで「金八先生も「人」という字は支え合ってできているって言ってるじゃないですか。要するに何かに寄りかからないと生きていけないのですよ、人間なんてものは」くらいは言い返して欲しかったけど。まあ同じネタは2回使わないか。それにそう割り切るには若すぎるか。この若者らしい潔癖さも一つの青春感だとも思うし。
あの程度で「依存」と言ってしまう陽乃さんもまだまだ若いなと思うと同時に、あれを「破調の美」と言える静ちゃんは言葉のチョイスを含めておb…大人だなと思うおっさんなのであった。