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「異人館画廊 失われた絵と学園の秘密」谷瑞恵(集英社オレンジ文庫)

異人館画廊 失われた絵と学園の秘密 (集英社オレンジ文庫)
異人館画廊 失われた絵と学園の秘密 (オレンジ文庫)

自殺未遂した少女、消えた絵……。鈴蘭学園美術部で起こった複数の事件には、図像術につながる何かが感じられる。そんななか鈴子の提案で、千景は生徒の一人を装って、学園の潜入調査を決行することになって……!? 矛盾する少女たちの証言に翻弄されながらも、千景と透磨は、事件と……呪われた絵画「ユディト」の謎を追う――。話題の美術ミステリー、第五弾!!


千景、美術系の高校に潜入捜査へ、なシリーズ第五弾。
自殺未遂で意識不明の子がいたり、千景もスタンガンで襲われたりで、人の嫉妬や悪意が渦巻いているのはいつも通りながら、舞台が高校とあってかこのシリーズにしては軽めの話。犯行動機がわかりやすかったのが大きい。このシリーズは犯人もその過程で疑われる人も闇が深いことが多いので。
千景の制服姿……思いの外似合わなかったなあ。表紙がコスプレにしか見えない(^^; 
年は相応で、言動は子供っぽいところも多く、メンバーからの扱いも姫か子供かって感じなのに。作中で言われていた通りに言葉使いの所為なのか、専門の話をしている時のきりっとしたイメージが強いのか。
でも、同年代の少年少女との学園生活は彼女に良い刺激を与えてくれたようで。特に恋愛模様とか。愛憎劇のシリーズらしく見せられたのは失敗例ばかりなおかげで、透磨への当たりがかなり柔かくなっていてニヤニヤ度がとても高い。
でも、逆に透磨の方が千景と一緒になるたびに過去のことばかりを気にしているので、このままではこれ以上は進みそうにない。
そろそろ物語の核心である失われた千景の記憶に切り込む時期が来るのかも。