いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「スーパーカブ4」トネ・コーケン(角川スニーカー文庫)

卒業も近づく高校3年生の冬。年末年始のイベントに浮き立つ世間をよそに、小熊はひとり、冬休みを迎えようとしていた。
「やっぱり、私にはカブしか無いのかもしれない」
そんな折、小熊をヘッドハンティングしたいというバイク便会社の社長・浮谷が現れ、新たなバイトを始めることに。
敏腕経営者とは思えない、どこか子どもっぽい浮谷。個性の違う同僚ライダーたち。大晦日の夜に出くわした、幽霊のような少女・史。馴染みのバイク解体屋で起こる、予想外のメロドラマ──両親も友達も趣味も、何も無かった。そんな小熊にカブがもたらした、人とのつながり。


冬休みから三学期の頭までの短い期間を描いた第4巻。
大学生編じゃないのか! 3巻と期間が被ってない? まあ別にいいけど。
教えられ与えられる側から教え与える側に回る小熊に、人間関係・友好関係が確実に広がっている小熊。引っ込み思案の地味少女がここまでになったかと、その成長に目を細める。
……ところは良いんだけどね。3巻に感じたコレジャナイ感はさらに強くなっていた。
乗っているバイクは半分以上が仕事用のホンダVTR250だったり、友好関係が広がる=新キャラ続々登場で、その分礼子と椎の出番がグッと減ってしまっていたりで、読みたいところが削られてしまった。VTRの話を掘り下げてくれれば面白かったかもしれないが。借り物だしトラブルもないしで走ってるだけ。
また、請われた人助けは小熊らしいが、自分から積極的にお節介をしている小熊には違和感が強い。解体屋のメロドラマの一件は、作者の中の小熊像と自分の小熊像がズレていることを認識させられる話だった。ところで、あの件は言っていることとやっていることが逆で、何がしたかったのかよくわからないのは私だけなんだろうか?
礼子や恵庭家の人達が出てきたり(恵庭家全員、小熊好きすぎだろうw)、カブに乗って冒険する時は、今まで通り面白い。だから、なおのことその割合が少ないのが残念だ。新しいことに挑戦するのは悪いことじゃないと思うけど、今まではあった作品の色を薄めてまでやることなのかな、とも思う。
次こそ大学生編? 3巻もそうだったのだが、4巻はさらに最終回っぽい終わり方なのが心配。