いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「異世界居酒屋「のぶ」 五杯目」蝉川夏哉(宝島社文庫)

古都の季節は、夏から秋へと移ろいつつあった。居酒屋「のぶ」はいつものように営業を続けており、日々の仕事に疲れた人々は、美味い酒と料理で元気を取り戻している。そんな「のぶ」へやってきた一人の男。彼は大事な晩餐会を前にしてスランプに陥っている〈四翼の獅子〉亭の副料理長だった……。仕事が人と人を結び、疲れた身体を一杯の酒が癒やしていく。読めばお腹が空いてくる異世界グルメファンタジー、第5弾。

文庫化早すぎないか?


ニコラウスがいつの間にか転職してる!?
他にも旅人が古都に腰を落ち着けていたり、ベルトホルトさん家の双子が初お目見えしたりと、常連客達の変化に時の流れを感じる第5巻。
大きなトピックスとしては、低迷していた〈四翼の獅子〉亭の復活。
日本でいうところの老舗の料亭なので、居酒屋である「のぶ」のライバル店というわけではないが、味自慢の店の復活に男たちに変化が訪れる。弟子との接し方や教え方に悩むタイショーや急成長中のハンスの想い。男たちの、というよりは仕事人の仕事に対する姿勢や心意気を感じるエピソードが、ふんだんに盛り込まれていたのが印象的な巻だった。
それに対して、その変化を見守り受け止める側にだったしのぶ。お茶目で今風な考え方なイメージだったけど、意外と古風な女性像な立ち位置だったのかな。……それはいいけどしのぶちゃん、君ベーコン食いすぎぃ!w
なんてちょっと堅苦しい感想になってしまったけれど、旨そうな肴と酒と人情噺を楽しむ、一話読み切りで気軽に楽しめる作品なのはいつもと変わらず。
食欲は刺激されるし飲む酒も旨くなりそうなので、飲む前に読むのがベターだが、そういう時間にはなかなか暇がないのが辛いところ。