いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「昭和少女探偵團」彩藤アザミ(新潮文庫nex)

立てば芍薬、座れば牡丹 謎解く姿は少女名探偵!
和洋折衷文化が花開く昭和 6年。女学校に通う花村茜と級友たちに怪文書が届いた。疑われた親友を庇う茜の耳に凛とした声が響く。──「やれ、アリバイがないのは僕も同じだぞ」。謎めいた才女・夏我目潮だった。鮮やかに事件を解決する彼女に惚れ込んだ茜は、天才で変人の丸川環も誘い、探偵團を結成するのだが。乙女の園で繰り広げられる昭和本格レトロ青春ミステリーここに登場!


昭和初期の活気があって慌ただしい雰囲気や、女学校の華やかな中に少しギスギスしたものが混じる空気が感じられ、女学校内で起きる程よい日常ミステリが楽しめた第一話は良かった。
なのに、そこから先が別物。
第一話の事件を経て少女探偵団が結成されたら、扱う事件が大きくなって女学校感や日常感がなくなってしまった……のは、まあ個人の好みの問題なのでいいとしても、メインとなるキャラクターが増えたら文章がおかしくなった。
一番の難点は前触れなく突然切り替わる一人称の視点。しかも一人称が「僕」か「わたし」のキャラクターが多く、誰目線になったのか、しばらく読んでみないとわからない。潮視点かと思ったら茜の父視点で困惑(^^;
また、会話も時々誰が誰に話しかけているのか分からなくなる。何故、お嬢様口調とぶっきらぼうな口調の二択しかないのか。特に第三話の偏屈お嬢様とその家扶を交えた会話は、もうなにがなにやら。
それと、主人公の茜が簡単に言うとおバカキャラで、憎めないキャラではあるが、常識と思慮に欠けるのでミステリを読ませるのにはまるで向いていない。
第二話からは「読み難かった」という印象しか残っていない。