いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「やがて恋するヴィヴィ・レイン5」犬村小六(ガガガ文庫)

やがて恋するヴィヴィ・レイン (5) (ガガガ文庫)
やがて恋するヴィヴィ・レイン 5 (ガガガ文庫)

「何百万人死傷しようがかまわない。おれはファニアのために世界を焼く」。史上最大の軍勢を率い、すさまじい勢いで進撃するルカはいつしか「災厄の魔王」と呼ばれ、世界そのものを敵に回していた。自由と平等を否定し、武力による変革を断行するルカに、ルナ・シエラ共和国第二執政カミーユは反旗を翻すことを決断する。一方、限られた生命を生きるアステルには「そのとき」が迫り――「あの歌が、あたしがあんたのそばにいるって教えてくれるよ」。
いよいよ舞台が大きく動き出す激動と感動、恋と会戦の物語、第五巻……!

アステ――――ルッ!!
いやまあ、表紙で分かってたけどさ。
戦乱の世の中でルカ(と読者)が唯一気を抜ける場所であり、最期まで仲間想いの気のいい子だった。
そしてついに登場したヴィヴィ・レイン。正体に関しては意外さはほとんどないが、、、これ「やがて恋する」んだろうか?
そんなわけで激動に次ぐ激動のラストに全てを持っていかれてしまった感があるが、本編はルカが立ち上げたルカ・シエラ共和国と、ジェミニの神聖リヴァノヴァ帝国によるグレイスランドの主導権争い。要するにまた戦争。
死にもの狂いで牙をむく弱者に対して、圧倒的な戦力と科学力をもって相手を踏みにじる強者。そんな大変胸糞の悪い戦いが、ジェミニによって繰り広げられていた。実に道中はとことん落とす犬村先生らしい。
それでもルカにしろメルヴィルにしろ、個人ではジェミニの思惑通りになっていなかったことで、多少溜飲は下がる様にはなっていた。それにラストで「グレイスランド内でのいざこざなんてまだ序章です」と宣言されてしまったようなものなので、逆にジェミニのピエロ化が心配になる。
3巻からは国単位の世界情勢の話がメインだったので、一人のルカに戻る(はず)の次は個の話になるんじゃないかと密かに期待している。今回見ているだけだったファニアの動向も気になる。