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「宝石商リチャード氏の謎鑑定 転生のタンザナイト」辻村七子(集英社オレンジ文庫)

宝石商リチャード氏の謎鑑定 転生のタンザナイト (オレンジ文庫)
宝石商リチャード氏の謎鑑定 転生のタンザナイト (オレンジ文庫)

将来の進路を思い悩む正義の前に、ひとりの男が現れた。染野閑。正義の父親だ。家庭内暴力で正義の誕生後すぐに離婚していたのだが、金がなくなり正義を探し出して近づいてきたのだ。何度追い払っても執拗につきまとわれた正義は、リチャードに迷惑をかけるわけにはいかないと「エトランジェ」を辞めようとするのだが……? 大好評ジュエル・ミステリー、第一部完!

リチャードの家族問題だった4巻とは逆に、今度は正義側の家族問題が勃発する第一部完となる6巻。
1話ラストの正義の締めに、自分の殻の中に真珠は見つからない方が良いだろう。それは何らかの傷に蓋をしたものなんだからとツッコミを入れていたら、、、フラグだったんかい。
4巻で一度第一部完みたいな雰囲気があったのに区切られなかったのは、この対になる物語があったからなのね。納得。
まあなんというか……二人の強い結びつきや深い愛を感じられる話だったわけだけど、宝石薀蓄と日常ミステリが楽しくて読んでいる身としては、こういう濃い話が来るとちょっと引いてしまう。というのが正直な感想。 
正義の実父が本気で胸糞悪いクソヤロウだったことを差し引いてもいい話であるのは間違いないし、4巻ほどBLの匂いはしないので読みやすくはあったのだけど、なんかこうピンと来ない。と言いつつ、驚きと笑いを振りまきつつ、そこまでの苦悩を浄化してくれるエピローグには感動してしまったわけだけど。でも、やっぱり通常営業だった1話2話の方が好きだな。
第二部が出たらどうするか悩み中。