いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ファイフステル・サーガ 再臨の魔王と聖女の傭兵団」師走トオル(富士見ファンタジア文庫)

ファイフステル・サーガ 再臨の魔王と聖女の傭兵団 (ファンタジア文庫)
ファイフステル・サーガ 再臨の魔王と聖女の傭兵団 (ファンタジア文庫)

「わたしも、あなたを夫として受け入れるわ」
これより二年の後、古の魔王再臨し、人類は滅ぶ。絶望の未来を塗り替えるため、《アレンヘムの聖女》セシリアと婚約し、最強の傭兵団《狂嗤の団》の団長となる道を選んだカレル。《アレンヘムの聖女》が持つ『自分の死を夢見る』という悪夢に希望の力を見いだしたカレルは、死の運命を回避する力を持った英雄として五芒国平定のため動き出す。一方その頃、幼くして女王の座を引き継いだ妹のため、暗愚を演じ続けていた王子ヴェッセルも権謀術数に長けた英雄として歴史の表舞台に姿を現す。玉座の頂を目指す英雄たちの叙事詩が今、幕を開ける!

魔王討伐後198年の世界を舞台にした戦記ファンタジー
二年後の魔王復活が予見されているが多くの者はそれを知らず、200年も平和が続いたことから人間同士が争い始めている世界情勢。さらに、魔王討伐前後の諍いによって未だ深いままの各種族間の溝。人間はもちろん全種族で力を合わせないと世界が滅亡する状況で、バラバラな世界を一つにまとめ魔王を打ち倒すことが出来るのか、という物語。


1巻ですでに面白い。もっと面白くなりそう。
まず、安易に成功させる気配が微塵もない条件と、多くの陣営の思惑が幾重にも交錯しそうな世界観に惹かれた。最近は、こういう重厚感と読み応えを重視するファンタジーに中々出会えないもので。
また、ダブル主人公が良い。
魔物の侵攻の矢面に立つ傭兵団《狂嗤の団》の新団長カレルと、五芒国をまとめ上げる立場にあるのフーデルス王国の摂政に就いた妾腹の王子ヴェッセルという、立場とタイプは違うが共に頭の切れるタイプの主人公。熱血タイプも嫌いではないが、この先に何をやってくれるのだろうと期待が持てる頭脳タイプの方が自分好み。二人いて対決するとなると尚更。
そして、その二人を差し置いて目立つのが肝が据わった女性陣だということ。まあ、肝が据わってるというよりイっちゃってるだけの人もいるがw ラノベらしいキャラクター小説としての楽しみも十分。
これは先が楽しみなシリーズが始まった。