いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「あんたなんかと付き合えるわけないじゃん!ムリ!ムリ!大好き!3」内堀優一(HJ文庫)

あんたなんかと付き合えるわけないじゃん! ムリ! ムリ! 大好き! 3 (HJ文庫)
あんたなんかと付き合えるわけないじゃん! ムリ! ムリ! 大好き!  3 (HJ文庫)

自分の意志を貫き通そうとした結果、改めて周りの人たちの優しさや、小春を傷つけていた事実に気がついた悟郎。
立ちはだかる現実に苦悩する悟郎に対し、小春はある提案をする。
『あたしが今までできなかったこと、全部かなえて!』
この言葉をきっかけに、悟郎は小春のワガママをかなえようと、女子高に潜入したり、春休みを利用して旅行へ出かけたり、小春のご両親に挨拶をしに行ったりするが――……。一途すぎる二人が紡いだ【どうしようもない青春ラブコメ】、ここに完結。

いつ終わるかもわからない悟郎にしか見えない小春との生活。小春がやりたいことをやると決め、小春のわがままに振り回される悟郎の様子が描かれるシリーズ最終巻。



甘々からどん底に突き落とされる1巻。その底でもがき苦しむ底なし沼のような2巻。それに比べるとスタートから穏やかで、長いエピローグのような3巻なのかと思っていたのだが、わがままと言いながら悟郎のことしか頭にない小春の真意が見えてくると、胸を締め付けるものが次第に強くなっていく。
そして小春のご両親とのシーンで決壊。あとはもう……
インパクトという面では過去二巻に劣るかもしれないが、ある面では今回も強烈だった。だって、生きたかった者の未練を、何の捻りもオブラートもなく全力で投げつけてくるんだもの。
死=喪失を強烈に印象付けることで、生の意味を考えさせる。これも命の大切さ、生きることの大切さを説く一つの形かなと。正論を説かれるよりもよっぽど効きそうだ。全く“ライト”なノベルではなかったけれど、小春の存在や「やりたい事」のストレートな表現はライトノベルでないと出来なかった表現方法だったように思う。
自称通り、本当に【どうしよもうないラブコメ】で間違いなく問題作だったと思う。でも出会えてよかったと思わせてくれtる作品だった。二人にあれだけ優しくしてくれた周りのみんなが、ちゃんと幸せになっているかが分からないのが、少し心残り。