いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ソードアート・オンライン オルタナティブ クローバーズ・リグレット3」渡瀬草一郎(電撃文庫)

ソードアート・オンライン オルタナティブ クローバーズ・リグレット3 (電撃文庫)
ソードアート・オンライン オルタナティブ クローバーズ・リグレット3 (電撃文庫)

「んー…そこは私と海世くんの仲ですから――」
《SAOサバイバー》にして、VRMMOの中限定の《探偵》クレーヴェル。そんな彼のリアルをよく知るいわくありげな美女の登場に、戦巫女・ナユタと忍者・コヨミは動揺を隠せない。謎の美女、リリカとクレーヴェルの関係とは?
その一方、現実世界のクレーヴェルの自宅では、ナユタのお泊りイベントが発生。微妙な距離を保ち続けてきた二人の関係に、大きな変化が訪れる――?
VRMMO《アスカ・エンパイア》を舞台に綴られるもう1つの《SAO》の物語、ここに完結!!

何かと謎だった探偵さんの会社の実態と社員たちが続々登場のシリーズ第3巻。にして最終巻。


ナユタを愛でようと思ったら、可愛いのはクレーヴェルの方だった――
実はこの物語、初めから主人公ナユタがヒロインのクレーヴェルを攻略する話だったんだなって。いや、ナユタの姉御がこれまで以上に、ゲーム内でも恋愛関係でも大変漢らしい姿を随所に見せてくれるから、そうとしか思えなくなってしまった。第一印象は清楚な大和撫子だったのに、まさかこんな強い娘に育つとは。でも好き。
一方のクレーヴェルは、作中でも可愛い可愛い言われていたが、本当に可愛いな、おい。で、切れ者なのに極度に臆病で純粋なこの人格形成は、アンタッチャブルな姉(表紙の新キャラ)の影響が大だったわけだ。コヨミが苦手なのも納得だ。
さて、毎回重めのストーリーの方は、ずばりSAO事件について。中でも“残された”人の心の傷について。
本編に深く切り込んでいく話に、GGOとのスタンスの違い驚きつつ、SAOサバイバーと遺族の二人を主人公にした意味の原点はここだったんだと納得させられる痛ましい内容だった。でもその悲痛さがストレートに表現されているからこそ、ナユタとクレーヴェルの出会いがもたらした劇的な効果と救いが映えているのだろう。
ナユタは久々にどストライクなヒロインだったので、ここで終わってしまうのが寂しい限りだが、悲劇に見舞われた二人の幸せな未来が見えた結末に読後感は最高。
まあ、尻に敷かれているところしか想像できないけどねw