いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ビブリア古書堂の事件手帖 〜扉子さんと不思議な客人たち〜」三上延(メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~ (メディアワークス文庫)

ある夫婦が営む古書店がある。鎌倉の片隅にひっそりと佇む「ビブリア古書堂」。その店主は古本屋のイメージに合わない、きれいな女性だ。そしてその傍らには、女店主にそっくりな少女の姿があった――。女店主は少女へ、静かに語り聞かせる。一冊の古書から紐解かれる不思議な客人たちの話を。古い本に詰まっている、絆と秘密の物語を。人から人へと受け継がれる本の記憶。その扉が今再び開かれる。

母親になった栞子が本ばかりに傾倒する娘・扉子に、人の繋がりの大切さを説く為、本にまつわる色々な事件・出来事を語って聞かせる。という体で進む後日談短編集。……栞子さんが「本より人」と言っても説得力皆無ですね(苦笑)
特徴的なのが、ビブリア古書堂と直接関わりのない話が二編(全四編)あること。第一話の坂口夫妻に第三話の小菅と、ビブリア古書堂だけでなく、過去の登場人物のその後も追えってくれるのはファンとして嬉しい。
ただ、読んでいてより楽しいのはやっぱり二人が出ている話。
特に第二話『俺と母さんの思い出の本』は、珍しくオタク業界の話題で興味深かったのと、栞子の冴えと強心臓がよく出ていてお気に入り。しかも、二人で拳を突きだして結婚指輪を見せつけるという強力なニヤニヤシーンまで出てくるおまけ付き。なにそのかわいいポーズ。
ちなみにもう一つの第四話は、扉子ちゃん大活躍回。こんな時から英才教育?で、これは末恐ろしい。祖母・智恵子以上のモンスターが生まれそう
また、エピローグでは『ビブリア古書堂の事件手帖』というタイトルの秘密が明かされたわけだけど、大輔は本は読めないのに、文章を綴るのは苦にならないんだ。意外だ。というか、あの本買う人いるんだ。意外だ。そりゃいるから毎年出てるんだろうけど。本屋でペラペラめくって「書きにくそう。手帳でよくね?」と思ったことは覚えている。
あとがきの口ぶりからすると続きもありそう。