いつも月夜に本と酒

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「魔弾の王と凍漣の雪姫」川口士(ダッシュエックス文庫)

魔弾の王と凍漣の雪姫 (ダッシュエックス文庫)
魔弾の王と凍漣の雪姫 (ダッシュエックス文庫)

弓は臆病者の武器。祖国でそういわれ続けてきた少年は、少女の言葉によって己の進むべき道を見いだし、守るべきものを得た。二年後、ブリューヌ王国はジスタートと同盟を組み、大国ムオジネルと開戦する。ティグルは病に伏せた父ウルスに代わり、初めての戦場へと向かった。戦争は順調に進んでいるかのように見えたが、奇襲を受けブリューヌ軍は戦線崩壊する。敗足するティグルの部隊。その窮地を救ったのはオルミッツ公国の戦姫、リュドミラだった。二年ぶりの再会を喜ぶ二人。しかし、その行く手には新たなる戦いが待ち受けていた。戦乱の世を舞台に、伝説の時代より続く闇の勢力との戦いが、今はじまる!!

MF文庫Jにて18巻で完結した『魔弾の王と戦姫』の世界観や登場人物はそのままに、ティグルの父を亡くしていなければ、エレンよりも先にミラに会っていたならば、などのあちこち状況が変わっているifの物語。それが、何故角川系ではなく集英社ダッシュエックスで出たのかは謎である。
王、1巻からお盛んでいらっしゃいますね!
ティグルが1巻からハーレム王の片鱗を見せていた。戦姫1巻のティグルがどうだったかは、正確には憶えていないが、もっと欲のない青年だったイメージがある。寝坊癖があり、仕事よりも狩りをしたい人だったはず。しかし、今作のティグルは初めから戦姫であるミラに並び立ちたいという欲求が強く出ていて、武勲には執着し女性にも積極的。初めから明確の目標があれば、あちらのティグルもこんな感じだったのだろうか。
一方のミラもすでにデレデレで、性格+竜具からイメージされるはずだったクールさはどこへやら。妹分や母親には弄られる始末。おかげでイチャイチャが存分に楽しめる訳だけど。
戦記の方は、ティグルの出世がまだまだで前作のような特殊な状況にもならず、局地的な戦況が分かるだけで大局観はない。vs魔物の方が読み応えがあるくらい。あとは、前作ではあっさり逝ったブリューヌ最強のロランが大きな役割を持っていそうで、今後が気になるところ。
ティグルが印象が違ったからか、世界観は同じでも物語の印象が大分違って、こんなに変わるものかと感心してしまった。他の主要メンバーが加わってきたらどう変わるか楽しみ。