あの日、彼女はまだ完璧じゃなかった。
あの日、彼女は人前で初めて泣いた。
あの日、彼女はすべてを振り切るスピードが欲しかった。
あの日、彼女は――……。
日南、菊池さん、みみみ、優鈴――。少女たちのあの日の想いが、ここに紐解かれる。6巻と7巻をつなぐ彼女の気持ちも……?
「弱キャラ友崎くん」の世界がさらに色づく、珠玉の短編集。
シリーズ初の短編集。友崎の視点で進む本編に対して、短編は女の子たちの視点なのが特徴（2話目のみ例外）。
日南や菊池さんの過去が知れたり、本編のあのシーンであの子は何を思っているかを知れたりする、ファンには嬉しい一冊になっている。
み み み が 可 愛 す ぎ る
この本を読み終わって真っ先に出てくる感想はこれ以外考えられない。
後半の7、8、10話目の怒涛のみみみラッシュでノックアウト。恋する乙女を全身で表現してくれるみみみが可愛くてしょうがない。特にラスト10話、6巻終盤のあのシーンからの続きが凶悪。
みみみは感情が理解しやすく身近に感じられるのも、余計に可愛く思える一因かも。友人たちの変化に、置いて行かれているように感じる焦燥感だとか。自分だけ知ってると思っていた誰かの魅力を他の人にも評価されていたり、自分がフォローしないとだめだった友達が巣立っていった時の、嬉しさと寂しさの入り混じった感情だとか。
それに対して（多分）メインヒロインの日南さんは、
中二ですでに仕上がっていらっしゃいましたか。ストイックすぎて引くわ。何が彼女をこうしてしまったのか。あの程度で幻滅されてしまう先輩彼氏が気の毒でならない。やっぱり日南さん苦手だわー。
ちなみに、もう一人過去を語られた菊池さんの話は、ばっちり癒し空間だった。スクールカーストの話が絡んできても、ぎすぎすしないのが流石菊池さん。ふとしたきっかけで出会った物語を好きになって、そこから勇気を貰えるその素直さが素敵でちょっと羨ましい。pureという単語がこれほど似合うヒロインも珍しい。
本編を補完しつつ、女の子たちの可愛さが楽しめる大満足な一冊だった。
