いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「いでおろーぐ!7」椎田十三(電撃文庫)

いでおろーぐ!7 (電撃文庫)

「領家さんには生徒会長選に出馬していただきたいのです」
「私はそういう人の前に立って話したりするのは……」
生徒会長・宮前の薦めにより、気乗りしないながらも次期生徒会長選挙に立候補した領家。宮前の後ろ盾もあり、当選はほとんど確実に思われたが――。
「驚きましたわ。あなたが……立候補なさるなんて」
生徒会内部からの伏兵、庶務の佐知川による数々の妨害工作の結果、選挙戦は波乱の展開に。
そんな混乱の中、大性欲賛会の過激派により高砂が拉致されてしまい――!?
リア充爆発アンチラブコメ、最終巻!

一年半ぶりの新刊にして最終巻。自然消滅を覚悟していたので、先ずは出てくれてよかった。
さて、その内容は新生徒会に押され気味な上に、ついにあの組織が本腰を入れてくる、反恋愛主義青年同盟部大ピンチなシリアス展開。
大性欲賛会。一部の構成員は出てき(て寝返っ)たものの、存在があやふやで「見えない敵」だった奴らが、実態をもって牙を向いてきたらと思ったら、、、ひぇっ、なんだこのホラー。
拉致られた高砂が洗脳されていく様子が生々しくてがっつりSAN値を削りにくるわ、度々フラッシュバックする高砂の記憶も読み手のトラウマをガンガン突いてくるわ。第3章怖い……第3章怖い……
でも、このラブコメとは思えないガチ凹ませのおかげで、その後の復活と逆転劇がより楽しいものに。期待通りの大立ち回りと大演説にボルテージは最高潮。そうそう、このノリを待っていたんだ。
中でも領家の演説は相変らずの詭弁力。もう、これたけで面白い。皐の台詞「先生のご高説をお聞きすることができる幸せ!」には100%同意だ。
また、イチャイチャと領家の恋する乙女っぷりのラッシュも凄い。ついに章のタイトルで自己矛盾って言っちゃったよw おかげで彼らの主張とは裏腹に、領家の高砂帰還前後の様子から「恋のパワーって凄い」と強く印象付けてしまった気がするけど、まあ自業自得だよね………リア充爆発しろ!!
全力でバカやってる感が最高に笑えて、硬く真面目な単語ばかりなのに中身はただの僻みという文字で読むから面白いラブコメに仕上がっている傑作だった。これで終わりなのは残念だけど、次回作の構想はもうあるようで、今度は新作に期待したい。