いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔法科高校の劣等生 (27) 急転編」佐島勤(電撃文庫)

魔法科高校の劣等生(27) 急転編 (電撃文庫)

西暦二〇九七年七月。激化するパラサイトと光宣との戦いに備え、達也は新魔法『封玉』の完成を目指し鍛錬を続ける。
同じ頃、世界規模の魔法師の衝突もある転機を迎えつつあった。
南下を開始する新ソ連艦隊が日本に迫る。そして、これを迎え撃つため、一条将輝吉祥寺真紅郎が行動を開始。果たして因縁の敵を退けられるのか――!?
一方、リーナが潜伏する巳焼島に、パラサイトと同化したかつての同胞、スターズが上陸。ついに激突の火蓋が切られるのであった。
戦略級魔法師が日本に集結!! 物語はクライマックスへと加速していく――。


説明好き作者が恋心を語るとこうなるんだ。冷静な分析が面白い反面、客観的過ぎて他人事みたいな印象がある。直前に恋愛小説を読んでいたので、その表現方法と印象の違いが興味深かった。
という、本題と外れたところはこのくらいにして、


日本強すぎる。
ソ連、USNA、光宣による同時多発的に起きた襲撃がすべて失敗とは。一応最後に綻びは出たが、あれは水波個人の意思であって、光宣の作戦自体は完全に失敗。達也の介入があったこともあるけれど、クライマックスに向けてのこの段階で、達也本人だけでなく周りを含めてここまでレベル差を見せつけられてしまうと、クライマックスがちゃんと盛り上がるのか心配になる。それでなくても達也の存在感で危機感が薄いのに。
それと、どこの戦いも完勝だったこともあり、事前の説明は濃いのに事が起こるとあっさりでまるで燃えない。一発打てば終わりの戦略級魔法が飛び交っている現状が、バトルもの特有の戦力のインフレが悪い方に出た典型的な形に陥っているような気がしている。
と、理屈っぽいことをつらつらと書いてしまうくらいには、盛り上がりはなく楽しめるところも少なかった。戦力のインフレ自体は、俺TUEEE系作品の先駆けであるこのシリーズの求められている姿ではあるのだろうけど、なんだかなあ。