2人でいることがすっかり当たり前になってきた、家出JK・沙優とサラリーマンの吉田。自分とまっすぐ向き合ってくれる吉田と同居するうちに、沙優は自分の将来を見つめ、実家へ帰る覚悟を決めつつあった。
そんなとき、吉田と同じ会社に、高校時代の彼女・神田先輩が異動してくる。吉田がかつて付き合っていたひと。予想もしなかった存在に、沙優の心はかき乱される。「私のことは、どう思ってる？」「吉田さんにとって、私って、何？」
さらには戸惑う沙優のバイト先へ見慣れない高級車が現れて――サラリーマンと女子高生の日常ラブコメディ、波乱の第3巻。
吉田の高校時代の元カノが登場する第3巻。
新キャラ元カノが、本当に堅物吉田の彼女だったのか疑いたくなるくらい極端な恋愛観を持つ人で、ヒロイン勢の心をかき乱す。そして沙優にはついに追っ手の影がちらつき始め――。と周りは騒がしかったのだけど、当事者の二人は思い掛けずいつものペース。
二人して自分の気持ちを自覚しかかっている状態で、この二人からすると前進なんだろうけど、如何せん揃って奥手だから、出てくる感想は「もどかしい」と「じれったい」。
この状態を動かすための新キャラと追っ手だったはずなんだけど……何故そのあおりを三島が受けているのだろう。1巻から3巻までずっと、どうしてこんなに三島ちゃんにだけ厳しいの？ フェアじゃない事はしないのに、ライバルにはアドバイスを送ってしまう三島が、本気でいい娘で泣けてくる。応援したいし、幸せになってほしい。
あと気になるのは、吉田から沙優は父性に、沙優から吉田は愛情に飢えた子のそれに見えること。そういう愛の形でも何ら問題はないのだけれど、堅物を絵に描いたような吉田と元来いい子な性格で家出中の負い目のある沙優がそう自覚した時に、自分を許せるか、それでも進もうと思えるかが心配。
次は間違いなく事態が動くので、どうなるか注目。抗うのか、引き離すことで気持ちを自覚させるのか。
