いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「幼馴染の山吹さん2 文学少女は文の上をゆっくり歩く」道草よもぎ(電撃文庫)

見事“青春の呪い”を解いた灯里と喜一郎の前に呪いの精霊・小春が再び現れ、新たな青春ミッションを告げる――。
文学少女が望む理想の出会いを果たし、彼女の物語を完結させろ』
文学少女にしてたった一人の文芸部員・瀬尾美咲と、さっそく接触をはかる灯里と喜一郎。果たして呪いが告げる彼女の物語とは!? そんな二人の前に……
「創研部と文芸部の部室、取り替えっこしない?」
創作研究部部長・立河すみれが現れ、さらなるトラブルを巻き起こす!?
一度しかない高校生活を、僕と彼女が全力で駆ける青春ラブコメディ第2巻。

1年3か月ぶり、まさか続刊。嬉しいです。



1巻のラスト=お祭りでの再会から始まり、再び二人で青春の呪いに立ち向かう第2巻。
今回のミッションは、文学少女の創作活動のお手伝い? そんなわけで、世界一かわいい幼馴染こと灯里ではなく、文学部の先輩・美咲がメインの、奥手な文学少女の恋の物語。
1巻と変わらず起こるイベントはこの手の作品のお約束ばかり。でも、そのベタを捻りなく全力でやり切る姿勢が素晴らしい。ラブコメディに全力だった1巻に対して、2巻は青春に全力だったので、甘酸っぱさの酸味が強かったのが今回の特長。
また、女の子の描写の丁寧さに磨きがかかっていた。時に変態チックにも思える程の濃さ。その濃い描写で、言葉よりも仕草で女の子の感情を読み取っていけるので、ヒロインがより身近に可愛く感じられる。
……そうして感情移入してしまっただけに、このラストは辛い。
最愛の女の子を待たせている主人公が相手なので結末は分かっていたけれど、この無理矢理切り取られてしまう終わり方はあまりに残酷だ。
とても良い青春ストーリーだったんだ。良かっただけに、このヒロインこのストーリーでやるなら、別の単発ものでやれば良かったのにと思わずにはいられない。結果的にメインヒロインの出番も減ってしまったし。
一年でも二年でも待つので続刊希望。ここままだと必要以上に後味が苦いし、灯里の頑張りは何だったのかになってしまう。なにより世界一かわいい幼馴染の満面の笑みを読みたいんだ。