いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「猫まみれの日々 猫小説アンソロジー」前田珠子他(集英社オレンジ文庫)

猫専用の洋裁店を訪れる客たちとそれぞれが選ぶ生き方、NOと言えない女性が出会った『見えるひとにしか見えない』猫、なぜかイケメン同期の飼い猫の世話係に選ばれたOL、愛猫家の店長が営む喫茶店の常連客になったお嬢様、元捨て猫にまつわる「ありがとう」の言葉たち――人気作家が描く、どこかにあるかもしれない猫と誰かの日々。好評につき第二弾が登場!

猫好きなので見かけるとついつい買ってしまう猫小説。ただ残念ながら、アンソロジー作品ではアタリを引いたことがない。
本作は、小アタリくらい……かな?
猫まみれのタイトルに相応しいのは一つだけだったけど、ひねりの少ないまったり系の話が多くていい感じ。



猫町洋裁店」かたやま和華
内容:猫の毛皮の仕立て屋さん(ファンタジー、猫視点)
猫の生まれ変わりが「毛皮を着替える」と言われていることから着想を得たファンタジー
猫による家族自慢話。主人公モナカの性格もあって、可愛らしくてほっこり。



「猫又の小料理屋さん」水島忍
内容:猫を追って裏路地に入ったら小料理屋が(ややファンタジー
疲れた社会人が物の怪に助けられるよくある話。
猫又・周五郎さんの人生相談。自分の悩みを話さなくても分かってくれるなんて、理想的な人生相談じゃないか。ぜひ受けたい。あ、見える人じゃないとダメかー、残念。



「七匹もいる!」毛利志生子
内容:海外出張に行く同期に猫の世話を頼まれる
唯一タイトルの「猫まみれ」に相応しい話。
7匹の猫の個性がしっかり表現されているのと、慣れない世話に奮闘するOLの様子が微笑ましく楽しい。
これは恋に発展する……のか? 同期の彼、かなり鈍いみたいだから大変そう。



「Cafeトラ猫のマスターは猫を愛しすぎている」秋社フユ
内容:カフェのマスターに愚痴を聞いてもらうお嬢様女子大生
話の内容はバーでマスターとOLがしてそうなやり取りなのに、昼間のカフェでしかもマスターが猫バカなおかげで、のんびりとした牧歌的な雰囲気を醸し出す不思議な作品。
マスターは猫に逃げられるタイプの人か。あんなに好きなのに。



「ありがとう」前田珠子
内容:捨て猫ミルクの半生(猫視点)
微妙。
飼い主たちの行動に矛盾点がいっぱいなのは猫目線なので置いておくとしても、猫の行動が猫らしくないのでピンとこない。