いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔法科高校の劣等生 司波達也暗殺計画 (2)」佐島勤(電撃文庫)

西暦二〇九六年五月、榛有希が司波達也に敗北をしてから約二年の月日が流れた頃。彼女は黒羽文弥直轄の暗殺者として日々依頼される仕事をこなしていた。
そんな中、有希の許に四葉家より“暗殺者見習いの少女”桜崎奈穂が派遣されてくる。自らのコンプレックスを鏡に映したような奈穂の幼気な容貌に辟易しつつも、二人の奇妙な共同生活が始まった。
そして、新たなるターゲットが決まる。
それは『人間主義』を掲げ、司波達也暗殺を目論むとある教団。奈穂は自らの能力を示すため独断専行を試みるが――。
落ちこぼれ? それとも? 独自なフラッシュ・キャストを扱う奈穂の力とは!?

魔法科高校の劣等生』スピンオフ作品第二弾。1巻の事件から2年後、本編では12巻と13巻の間の話。



このスピンオフ、思っていたのと大分違った。
毎回、達也を狙うことになる可哀想な人が主人公になる話なんだと思っていたら、2巻も榛有希の物語であり、彼女から見た黒羽文弥の物語だった。そして今回から桜シリーズの新キャラ、桜崎奈穂も参戦。

本編より、このシリーズの世界が感じられる話だな、と。
本編の方は世界有数の魔法師たちによる世界魔法大戦になっているので、有希や奈穂のようなごく普通の、または平均よりも劣った能力しか持たない魔法師から見たこの世界の景色が感じられるのが新鮮。何かしらの閉塞感や生きにくさをそれぞれに抱えているのは、時代が進んでも変わらずか。リアルだ。
それと、その普通の人達から見た達也や四葉家の姿も見えるのがいい(一応魔法師で裏稼業な時点で普通ではないが)。
中でも有希の達也やヤミに対するぼやきが面白い。大魔王て。合い過ぎて笑うわ。残念ながら最後の一言は手遅れだろうなあ。一度触っちゃったから、祟られ続けるだろう。
3巻の予定もあるそうで。奈穂によって改善された有希の生活状況がどうなっているかが見物。