いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「りゅうおうのおしごと!10」白鳥士郎(GA文庫)

竜王、遂に小学校の教壇に立つ!
「澪たち、くじゅるー先生に鍛えてもらいたいんです!」
小学生の将棋大会『なにわ王将戦』で優勝を目指すJS研。
しかしあいの新しい担任にJSとの同居を問題視された八一は、自らの潔白を証明するため小学校で将棋の授業を受け持つことに。
一方、女流名跡リーグ進出を目指すあいの前には謎の女流棋士が立ちはだかり、そして銀子は地獄の三段リーグで孤独な戦いを始めようとしていた――。
それぞれの戦場で繰り広げられる魂の激突。決意と別離の第10巻!
小さな背中に翼が生えたとき、天使は自らの力で羽搏き始める!!


小学五年生に上がったあいとJS研の澪と綾乃が、それぞれの戦いに挑むシリーズ第10巻。
今回は小学生が主役。クズロリ王大活躍で、頓〇しろ!の声がどこからか聞こえてきそう。
女流名跡リーグ進出をかけた大事な一番。ようやく回ってきたあいの番。と思ったら、小学生のアマチュア大会の前座かい! 前から思っていたけど、あいの将棋での扱いって軽くない? 熱が入る大一番はタイトル戦までおあずけってことなのかな。
そんなあいの活躍よりも、その時に明かされた八一のあい育成方針の方が強烈なインパクトを残していった。将棋が関わるとどこまでもクレイジーだな、この主人公。
さて、メインイベントになった『なにわ王将戦』は、
このシリーズは、才能、努力、根性のスポ根要素の強い物語であるが、今回はスポ根に欠かせない要素の一つ「友情」で泣かせにくる。
この1年で育まれたあいと澪の友情、その前から続く澪と綾乃の友情を軸に、小学生名人という強大な敵と相対する対局が熱い。盤に向かうのは一人でも、決して一人で戦っているのではないと、戦う前のサポートや前の対局の影響、友達への憧れなどのエピソードが、一つ一つ語られていくストーリーが涙腺を刺激する。
それと隠れてもう一つの友情も。ぶらっくきゃっとさんマジかわいい。ツンデレの鑑ですわ。
小学生メインとあって軽めの回ながら今回も面白かった。と言おうとしたら、最後の最後に爆弾が。
6巻からずっとこんな状態なんだから早く救い……は本人が求めないか。せめて戦うための帰る場所を作ってあげて、八一くん。小学生に「一人じゃない」と語った君ならそれができるはず。ただこの主人公、将棋が関わると鬼になるのよね……。