いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ゲーマーズ!DLC2」葵せきな(富士見ファンタジア文庫)

《雨野景太断ち》を決めた女子大生ゲーム実況者の霧夜歩。新たな相方を探していた彼女の前に現れたのは、雨野を彷彿とさせるワカメ系女子で――「そろそろ緊張はほぐれてきたかな、シアナ?」「は、ははは、は、はは、は、…はいです!」
さらに、なぜかギャル系女子までゲストに加わる事態に。「あぐりん、ぶっちゃけテレビゲーム自体が、そこまで好きでもないしぃ……」「うん、そこはぶっちゃけなくていいよ!」
賑やかな錯綜実況生活。しかし、後戻り不可のラスボス戦はすぐそこまで近づいていた!すれ違い錯綜青春ラブコメの拡張版、雨野景太の交際相手が踏み込むまで――残りゼロ秒。


表紙は魔女っ娘花憐。口絵は水着花憐に、スポーツ少女花憐。どれも天使のような愛らしさ。で、中にいたのは鬼、かな。
前巻(DLC)で景太の交際相手が登場することが予告されていて、本編11巻で決着がついているのでネタバレ上等で言ってしまうと、外伝主人公宅に花憐が乗り込んでくるわけだけど……鬼神花憐の行状はご自身で読んでお確かめください。私の口からはとてもとても。
そんな訳で外伝2巻は、その外伝主人公・霧夜歩の葛藤を描く物語。
間の悪さに運の悪さ。勘違いを生む言動に身も蓋もないツッコミ。前巻ではいけ好かないゲーム実況者の印象しかなかった歩が、どんどんズブズブと『ゲーマーズ』の沼にはまっていくのが面白い。もちろんメインは苦笑い。偶然という名の必然で、いつものメンバーと続々出会ってしまうところとか、なんだかんだで景太を気になってしまうところとか、まるで本編のよう。
本編ヒロインズと同様に、景太に出会ってしまったのが最大の不運ってことか。雨野景太被害者の会を作るべき。
そんな不幸な歩を含めて色々な意味で「恋する乙女は恐ろしい」話だった。ええ、そりゃあもう“色々な”意味で。金髪鬼さんが最恐に見えて、実はこれ心葉が一番怖くない?