いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「百錬の覇王と聖約の戦乙女17」鷹山誠一(HJ文庫)

《絹》撃破の喜びもつかの間、《炎》進軍の報せが《鋼》に走る。会戦の舞台は“あの"ガシナ砦。勇斗不在のなか、ラスムス率いる《角》軍が、《炎》の先陣を迎え撃つが――
神算鬼謀の織田信長と、覚醒した勇斗のチート、果たしてどちらが上回るのか!? 異世界の少年が覇道を征くファンタジー戦記、ユグドラシル史上最大の決戦が幕を開ける第17巻!!


決戦間近のこの時期に唐突にルーネが表紙だったので、嫌な予感がしていたが……そういうことか。ホッとしたような拍子抜けしたような複雑な気分。でも敵の強大さといい、今回のあるエピソードといい、本戦になったら誰かが犠牲なることは覚悟しておかないといけないだろう。
さて、今回実際に起こった戦は、前哨戦のさらに前哨戦といったところ。
攻める《炎》は質実剛健で粘り強さを売りにする将クゥガ。迎え撃つのは《角》の大ベテラン・ラスムス。おっさん対決という、地味な戦いの裏で着々と準備を進める両大将、といった構図。
但し準備と言っても、勇斗の方は大脱出の準備だが。大型船を用意して港を制圧しても、民を船に乗せるには港まで移動させなきゃならない。それは解ってはいたが、それを真面目に取り扱うのも意外なら、方法も意外だった。ここが今回の読みどころ。
今回も最終決戦に向けての準備が着々と進み、信長を本気で迎え撃たなければならな時はもうすぐそこ。勇斗の言う信長の弱点とは何なのか、各章で少しずつ匂わせていた不穏な空気や人物がどんな意味を持ってくるのか、次回が楽しみ。