いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「おねだりエルフ弟子と凄腕鍛冶屋の日常」松山剛(電撃文庫)

「お師さま、そろそろお疲れではありませんか? 私が癒して差し上げますよ~?」『全ての金属の街』アル・メタリア。近郊の森や洞窟には多くの素材を出す金属外殻獣が棲み、それらを狩って一攫千金を目指す冒険者がたむろする。
その街で『最高職人』として名声を高めていた男・フィーゴのもとに転がり込んできたのは、金属……ともすれば人の文明とすら縁遠い、エルフ族の少女だった。
妙にフィーゴに対して「ぐいぐいくる」その少女の名はルミア。果たして彼女は、何のためにこの街へ――?
「そんなことよりおしさま、ルミアと楽しいことしましょ?」
弟子のおねだりを華麗に受け流しつつ、今日も最高職人フィーゴの仕事が始まる!


モンスターたちの外殻がどれも金属で、金属の種類が豊富な世界で、マスタークラスの鍛冶師であるフィーゴと、その弟子のルミアが営む鍛冶屋を舞台にしたファンタジー。鍛冶屋の仕事をするというよりは、持ち込まれた面倒事を1話1件で解決する日常ミステリ風作品によくあるタイプ。

楽しめる部分とそうでない部分の差が激しくて悩ましい。
基本的には困った人を放っておけない主人公による人助けの話なので、その人柄や優しさが出ていたり、人の機微に触れる真面目な空気の時はとても面白い。
ただ、コメディパートが微妙だ。
頑固で欲の少ない職人気質な主人公と、押しかけ女房で暴走タイプのヒロインの相性が良くないように思う。ヒロインの攻勢に、慌てるにしてもあしらうにしても、もう少し実のある反応を示してくれないと、ヒロインが独り相撲をしているようで、コメディなのに物悲しい気持ちになる。
うーん、、、
シリアスな時、特に泣かせに来る時の松山作品は大好物なのだけど、コメディのセンスはどうにも合わないな。



1987年、ファミコン時代で武器耐久度のあるRPGというと『ヘラクレスの栄光』ですね、たぶん。