いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「新宿もののけ図書館利用案内」峰守ひろかず(メゾン文庫)

新宿・舟町の住宅街にひっそりと佇む深夜営業の「新宿本姫図書館」。本を返す時には必ず別の本を添えなければならないという奇妙なルールがあるこの館には、人間でないものばかりが訪れる――。人間の身でありながら、訳あって本姫図書館で働くことになった末花詞織。生真面目な館長代理の牛込山伏町カイルとともに、今夜も化け猫や化け狐などの新宿妖怪を相手に奮闘するが!? 気弱な司書と新米館長代理が紡ぐ、優しいもののけ図書館物語。


開館時間は深夜?利用者は妖怪? 新宿にある少し不思議な図書館の物語。
「あらあらまあまあ」とでも言いたくなってしまうような微笑ましい空間が広がっていた。
新入り司書の詞織と新米館長代理のカイルは、二人して自信なさげで、二人して危なっかしいけれど、頑張っている姿がいじらしい。そんな二人が足りないところを補い合って、お互いに成長し、図書館をより良い空間に変えていく様子に心温まる。おまけに二人とも異性へ反応が初々しく、お似合いの若いカップルを見守っているようでニヤニヤ度も高い。作者の作品は、メインのどちらかがテンション高めな場合が多いので、こういう組み合わせは新鮮。
まあ、詞織さんは自信なさげな言動のわりに、妖怪相手でも一度面識があれば物怖じしないし、常人ならちびってそうな大妖怪相手を目の前にしても思考停止しないしで、かなり肝が据わっているように思えたけれど。
もののけ」の方は、舞台が新宿ということで新宿縛りの妖怪譚。って、新宿だけでもこんなにあるのか! 人のいるところに妖怪(怪談)ありってことかな。
そんな流石の峰守先生クオリティの妖怪薀蓄に加えて、立場は上司でも司書として素人な館長代理に教えるという形で、司書としての細々とした仕事を知れるお仕事小説にもなっていて、知識欲を満たしてくれる。
とても面白かった。新宿のネタはまだあるみたいなので、是非とも続編を。